新型コロナウイルス感染症の影響による確定申告の申告・納付期限の延長について
1.確定申告・納付期限の延長
新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、令和元年分の申告所得税(及び復興特別所得税)、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限・納付期限について、令和2年4月16日(木)まで延長されることが令和2年2月27日(木)に決定しました。
また、感染拡大により外出を控えるなど、期限内に申告することが困難な方については、期限を区切らずに、4月17日(金)以降であっても柔軟に確定申告書の提出を受け付けてもらえるようになりました。
その場合、申告書の作成または来署可能となった時点で税務署で申出を行うことにより、申告期限延長の取扱いとなるようです。
2. 4月17日以降の申告相談について
4月17日以降の申告相談については、原則として、事前予約制とするなど、感染リスク防止により一層配慮した形で行われます。
3. 4月17日以降に確定申告を申告される方への税務署の対応について
(1)申告期限を延長した場合の申告所得税及び個人事業者の消費税の振替えについて
申告期限の延長申請をされた方の申告所得税及び個人事業者の消費税の口座からの振替日については、所轄の税務署から個別に連絡があります。
※ 口座からの振替日は、延長後の期限から税務署内での処理や金融機関への連絡等に要する日数を加算して個別に設定されます。
(2)新規に振替納税の利用を希望する場合について
納税を口座振替にて利用される場合は、延長後の期限までに所轄の税務署へ「預貯金口座振替依頼書」の提出が必要になります。
(3)納税資金の準備が困難な場合について
新型コロナウイルス感染症の影響で納税が難しい場合、所轄の税務署に相談・申請をすることで納税の猶予制度が適用できる場合があります。
なお、福岡県内の税務署へ連絡される場合は、下記の連絡先をご参考ください。
税務署 | 管轄地域 | 電話番号 |
---|---|---|
甘木 | 朝倉市 朝倉郡 | 0946-22-2720 |
飯塚 | 飯塚市 嘉麻市 嘉穂郡 | 0948-22-6710 |
大川 | 大川市 三潴(みずま)郡 | 0944-87-2125 |
大牟田 | 大牟田市 柳川市 みやま市 | 0944-52-3245 |
香椎 | 東区の一部 宗像(むなかた)市 古賀市 福津市 糟屋(かすや)郡 | 092-661-1031 |
久留米 | 久留米市 小郡市 うきは市 三井郡 | 0942-32-4461 |
小倉 | 小倉北区 小倉南区 | 093-583-1331 |
田川 | 田川市 田川郡 | 0947-44-0430 |
筑紫 | 筑紫野市 春日市 大野城市 太宰府市 那珂川市 | 092-923-1400 |
西福岡 | 西区 城南区 早良区 糸島市 | 092-843-6211 |
直方 | 直方市 宮若市 鞍手郡 | 0949-22-0880 |
博多 | 東区の一部 博多区 | 092-641-8131 |
福岡 | 中央区 南区 | 092-771-1151 |
門司 | 門司区 | 093-321-5831 |
八幡 | 戸畑区 八幡東区 八幡西区 | 093-671-6531 |
八女 | 八女市 筑後市 八女郡 | 0943-23-5191 |
行橋 | 行橋市 豊前(ぶぜん)市 京都(みやこ)郡 築上郡 | 0930-23-0580 |
若松 | 若松区 中間市 遠賀(おんが)郡 | 093-761-2536 |
次回は、納税の猶予について詳しくご説明させていただきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う納税の猶予
新型コロナウイルス感染症の影響で資金繰りが苦しく、納税の余裕がない…という事業者の方が、今年は多いのではないでしょうか?
国税を一時に納めることが困難な場合、税務署に申請していただくことにより、原則1年間の納付の猶予を受けることが出来ます。
今回は、国税の納税の猶予制度についてご説明致します。
1.納税の猶予の要件
納税猶予の条件は、次の要件の全てに該当する必要があります。
【要件】
・猶予を受ける国税以外の税金の滞納がないこと
・納付すべき国税の全額を一時に納付することで、事業もしくは生活の維持が困難になる場合
・納付すべき国税の納期限から6ヶ月以内に申請書を提出していること
2.猶予を受けられる国税
では、どのような税目について猶予を受けることができるのでしょうか。実は、ほとんどの税目が対象となります。
例えば、地方消費税・地方譲与税は一旦、国に納める税金ですので、猶予の対象となります。また、中間申告・修正申告分も猶予の適用を受けることが出来ます。
但し、印紙税・外国貨物を保税地域から引き取る場合の消費税・出国する際に直接納付する方式の国際観光旅客税は対象外となります。
なお、令和元年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の確定申告は、延長された期限(令和2年4月16日)が納期限でしたのでご注意下さい。
3.納税猶予の申請手続き
国税納税の猶予を受けるためには、まず、各国税局設置の相談窓口へご連絡ください。
(国税庁猶予相談センターのご案内)
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan/callcenter/index.htm
その後、申請書と添付書類を税務署に提出していただき、税務署の審査の後、猶予の適用という流れになります。
4.猶予期間中の支払い、延滞税について
猶予の適用を受けた場合、納税者は猶予許可通知書に記載された分割納付金額をそれぞれの分割納付の期限までに納付をする必要があります。
また、延滞税については、納期限を遅滞した場合、令和2年では原則として納期限から最初の2ヶ月は年利2.6%、2ヶ月以降は8.9%の延滞税が発生します。猶予期間中、延滞税は軽減されます。しかし、猶予期間中の延滞税は年利1.6%まで軽減されます。
また、消毒により財産の損失があった場合や本人または家族が罹患するなど、状況によっては延滞税が全額免除される場合もあります。
5.まとめ
今回は、国税の納付の猶予制度について説明致しました。
なお、本記事は、令和2年4月25日現在の法令に基づき作成しておりますので、予めご了承ください。
マンションへの日照に関する売主等の説明義務(2)日照に関する売主の説明義務
日照の利益は、主に南側隣接地の利用形態によって確保されるものです。南側隣接地がマンション所有者とは別人の所有である場合、その土地の利用方法は他人の意思に委ねられるものなので、マンションの売主から南側隣接地の所有者に対して、「日当たりが悪くなるから高い建物を建てないでほしい」といった要望を出すことは難しいでしょう。
よって、一般的には、日照の利益は売主の裁量によって確保できない性質のものであるため、原則として、マンションの売主には、その売買において南側隣接地にどのような建築物が建てられる可能性があるのか、その建築物がマンションに与える影響等を調査し、その結果を買主側に正確に告知説明すべき義務は課せられていないと解されています。
一方で、売主側が、特に良好な日照をセールスポイントにしていたり、南側隣地の所有者からその利用形態に関する説明(例えば、隣地にこれから高層マンションを建設することが決まったため、日照が遮られることが予想されるといった事情)を買主に行う旨要請されていたような場合や、売主側が買主側に対し虚偽の説明や誤解を招くような説明をなした場合には、売主の説明義務違反が認められやすいと言えます。
マンションへの日照に関する売主等の説明義務(1)売主の説明義務の根拠
売主が宅地建物取引業者の場合は、宅地建物取引業法により売主である宅地建物取引業者に説明義務が課されています。他方で、売主が宅地建物取引業者でない場合であっても、売主が事業者であり、かつ買主が消費者である場合には、当該契約は消費者契約として消費者契約法が適用され、売主に情報提供努力義務が課されます。
具体的には、消費者契約法3条1項は、
一 消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ、消費者にとって平易なものになるよう配慮すること。
と定めています。
言い換えると、消費者契約の締結について勧誘する際には、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努力するように、ということとなります。
これにより、売買契約が消費者契約に該当する場合は、そうでない場合に比べて、売主の説明義務がより重いものになっているものと考えられます。
マンションからの眺望に関する売主の説明義務(4)眺望に関する売主の説明義務
マンションの売主は、居室からの眺望について説明する義務を負うのでしょうか。
裁判例は「眺望利益なるものは、個人が特定の建物に居住することによって得られるところの、建物の所有ないしは占有と密接に結び付いた生活利益であるものの、「それは、右建物の所有者ないしは占有者が建物自体に対して有する排他的、独占的支配と同じ意味において支配し、享受し得る権利ではない。」とし、「特定の場所からの観望による利益は、たまたまその場所の独占的占有者のみが事実上これを享受し得ることの結果としてそのものの独占的に帰属するに過ぎ」ないとしつつも、「このことは右のような眺望利益がいかなる意味においてもそれ自体として法的保護の対象となり得ないことを意味するものではなく、このような利益もまた、一個の生活利益として保護されるべき価値を有し得る」ものであり、「特定の場所がその場所からの眺望の点で格別の価値を持ち、このような眺望利益の享受を1つの重要な目的としてその場所に建物が建設された場合に、当該建物の所有者ないし占有者によるその建物からの眺望利益の享受が社旗観念上からも独自の利益として承認せられるべき重要性を有するものと認められる場合には、法的見地からも保護されるべき利益であるということを妨げない」(東京高決昭和51.11.11)としています。
したがって、売主側が不動産売買の契約前の段階で眺望をセールスポイントにしていたり、販売後に売主側が自ら眺望を妨げる行為に出たりした場合には、売主の説明義務違反が認められやすいと言えます。
マンションからの眺望に関する売主の説明義務(3)説明義務違反の効果
マンションの売買契約において、売主に説明義務違反が認められた場合には、実際に買主が被った損害について、売主に対してどのような請求ができるのでしょうか?
もちろん、「損害賠償」を請求することが可能です。
損害賠償の範囲については、信頼利益(契約締結に要した費用)の賠償を命ずる判例が多いようですが、信頼利益とは別に実際に発生した損害がある場合には、合わせて専門家に相談してみるのが良いでしょう。
なお、売主の説明義務を「信義則から導かれる売買契約上の付随的義務である」とした場合には、説明義務違反は「付随的義務の債務不履行」となります。
そして、付随的義務の不履行があったとしても、原則として相手方は契約の解除をすることができないとされます。
しかしながら、付随的義務の不履行であったとしても、それが契約締結の目的の達成に重大な影響を与えるような場合については、契約を解除することが認められます。
ただし、後から損害賠償請求が可能とは言え、居住にかかわる部分で後から違反が見つかった場合、迷惑を被るのは売主です。買主を信頼しつつも、きちんと売主にとって大切な内容が説明されているか等を注視しておく必要があるのではないでしょうか。
マンションからの眺望に関する売主の説明義務(2)仲介業者に委託した場合の売主の説明義務
契約当事者が宅地建物取引業者に仲介を委託する場合には、売主の説明義務はどのような扱いとなるのでしょうか?
この場合、契約当事者の意思としては、原則として、重要事項の説明については自らが委託した宅地建物取引業者が行うものとしてその説明に委ねているということができます。よって、売主本人は買主に対し説明義務を負いません。
しかしながら、例外的に売主も説明義務を負うケースもあるので注意が必要です。
〔例外的に売主も説明義務を負う場合〕
①大阪高判平成16.12.2
売主が買主から直接説明することを求められ、かつ、その事項が購入希望者に重大な不利益をもたらす恐れがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想される場合には、売主は、信義則上、当該事項につき事実に反する説明をすることが許されないことはもちろん、説明をしなかったり、買主を誤信させるような説明をすることは許されないというべきであり、当該事項について説明義務を負う。
②東京地判平成9.1.28
売主は売買契約に向けて仲介業者に委託している以上、仲介業者を売主の履行補助者とみて、指導要綱の説明義務違反について売主も責任を負う。
マンションからの眺望に関する売主の説明義務(1)売主の説明義務の根拠
マンションを含む不動産の売買は、高額なお金をやり取りすることとなるため、契約締結に至る過程での売主の説明内容はかなり重要です。
もし売主の交渉段階での説明不足が原因で買主に損害を与えた場合は、あくまで契約成立前の段階(交渉段階)で問題となる責任であるため、売買契約上の責任(債務不履行責任)ではなく、民法上の不法行為責任(民法709条)に該当すると考えられることが多いようです。
しかしながら、売買契約締結前であっても、売主の説明義務違反として契約上の責任を追及することができる場合があります。
そもそも、売買契約における売主の義務は、契約の目的物である財産権を買主に移転することなので、説明義務自体は本来的な売主の義務に含まれません。
ただ、信義則から導かれる売買契約上の売主の付随的義務として「説明義務」が認められる場合もあり、この説明義務違反に対して債務不履行責任が成立する場合もあります。
また、宅地建物取引業者が自ら売主となったり、仲介業者として介在したりといった形態で不動産の売買契約が行われるケースも多く見られます。
この場合、宅地建物取引業者は、売買契約等が成立するまでに、宅地建物取引士として、重要事項を記載した書面を交付して説明させなければならないと定められています。
自社キャラクターのオリジナルグッズ製作費は経費になる?
自社のキャラクター、着ぐるみを制作し、次はオリジナルグッズを作ることが決定しました。取引先、お客様などに会社の名前が入ったボールペンやタオルを配る目的です。
では、オリジナルグッズの製作費は「経費」にすることができるのでしょうか。
この場合は、「広告宣伝費」として「経費」にすることが可能です。ただ、あくまでオリジナルグッズを作る目的は宣伝です。
そのため、グッズには会社名が入っていることが必須となります。社名を入れてしまうと、なかなか使ってくれない、といった場合には会社名ではなく、会社のホームページアドレスを入れることも可能です。
宣伝目的で作っているものになるため、宣伝要素が何も入っていないとなると「広告宣伝費」ではなく「接待交際費」と判断されかねませんので、気を付けてください。
上記では、オリジナルグッズについてお話しましたが、図書カードだった場合はどうでしょうか。
この場合も、「広告宣伝費」として「経費」にすることが可能です。ただし、条件として「限定された人だけでなく、不特定多数の人に配るものであること」「1枚あたりの単価が1000円以内であること」「現金と同等の役割を果たすものではないこと」を満たさなければなりません。
「広告宣伝費」にするためには、会社名や会社のホームページアドレスの記載、限定された人だけに配らない等の条件を満たす必要がありますが、条件を満たせば経費とすることができますので是非活用してみてください。
-
個人事業主の方や中小企業経営者の方で、労務や税務関係についてお悩みの方、KOMODA LAW OFFICEでは社労士法人・税理士法人も有しておりますので、確かなノウハウで事業者に合わせたご提案をいたします。ぜひ092-433-8711までお問い合わせください。
自社キャラクターの着ぐるみ製作費は経費になる?
自社のキャラクターを制作したあと、そのキャラクターの着ぐるみを制作しました。
キャラクターを制作した場合は、時間をかけて毎年少しずつ経費として処理をしていく、「減価償却」の方法をとっていました。着ぐるみの場合も同じ方法をとるのでしょうか。
着ぐるみは、制作するとそれを着てイベントに出演したり、どこかで広告を配ったりと、多くの人と触れ合う機会がほとんどです。時には、キックされたり、雨で汚れてしまったりすることもあります。
これらを踏まえると、キャラクターのように5年間かけて「減価償却」することが難しい可能性もあります。では一体、どのようにして経費にするのでしょうか。
着ぐるみの場合、使用することのできる期間が1年未満であれば、着ぐるみを作ったときにその費用をすべて「経費」にすることができます。ただし、大きなダメージを受けない限り1年以上は使用できるはずです。したがって、着ぐるみもキャラクターを制作した場合と同様に、「減価償却資産」として、減価償却していくことになります。
では、着ぐるみの法定耐用年数はどのようになるのでしょうか。着ぐるみの場合は、耐用年数省令別表一に挙げられている項目に該当していませんので、「その他のもの」と考え、期間は5年間と考えられることが一般的です。
個人事業主の方や中小企業経営者の方で、労務や税務関係についてお悩みの方、KOMODA LAW OFFICEでは社労士法人・税理士法人も有しておりますので、確かなノウハウで事業者に合わせたご提案をいたします。ぜひ092-433-8711までお問い合わせください。