Komoda Law Office News

2019.08.07

従業員が失踪した場合の退職手続きとは|弁護士コラム

従業員が行方不明になり失踪してしまった場合には、企業はどのような形式で退職手続きを行えばよいのでしょうか。ご説明します。

一般的に、解雇をする際には解雇予告を30日以上前に行うこと、又は、解雇予告手当の支払いが義務付けられています。
しかしながら、次のケースに該当する際には、解雇予告や解雇予告手当の支払いが不要とされています。

・天災事変や、その他事業を継続することが不可能である場合
・労働者の責に帰すべき理由に該当する場合

従業員が失踪した際、企業は解雇予告を行いたくても行えない状況に置かれます。そのため、従業員が失踪してから「2週間以上の無断欠勤」があった場合、労働者の責に帰すべき理由に該当するとされています。
解雇予告除外認定を労働基準監督署にて受けることにより、解雇予告や解雇予告手当の支払いが不要となります。

従業員を解雇するには、企業から従業員に対する解雇の意思表示が必要となります。従業員の失踪により事実上不可能な場合、意思表示の方法として「公示送達」を行うことを検討しなくてはなりません。

公示送達とは、裁判所に解雇する旨を掲示して、本人へ意思表示したものとみなす制度です。
しかしながら、この手続き行うには、相当の時間と労力が掛かってしまいます。
このような手間を避けるために、予め就業規則において、無断欠勤が続いた場合の普通解雇・懲戒解雇事由として規定を定めておくと、簡易的に退職手続きを行うことが可能になります。

 


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2019.08.05

「自己都合退職」と「会社都合退職」の違い|弁護士コラム

退職の形式としては大きく分けると「自己都合退職」と「会社都合退職」の二つがあり、「自己都合退職」とは、結婚や転居、私病の療養等の自身の意思や都合に基づいて行う退職を指しています。

「会社都合退職」とは、企業の倒産や経営不振などを理由に企業から一方的に労働契約を解除された場合など、労働契約終了の主たる原因が企業側にある場合の退職を指します。

それでは、自己都合退職か会社都合退職かの形式の違いによって、どのような違いがあるのでしょうか。
まず、退職後の雇用保険(失業保険)の給付内容が異なります。「自己都合退職」の場合には、失業保険が給付されるには退職日から3ヶ月と1週間待機することが必要であるのに対し、「会社都合退職」の場合、退職日から1週間後より失業保険が給付されます。

その他にも、支給日数や最大支給額の違いがあることから「会社都合退職」の方が従業員にとって優遇された扱いになります。これは、自分の意思で職を失った人よりも、会社の一方的な都合で職を失った人の方が保護の必要性が高くなるからです。

前述を考慮すると、会社都合退職の方が従業員にとって都合が良いのであれば、「本来は自己都合退職に該当するが、会社都合退職にしてあげようか」という発想をする経営者の方もいらっしゃると思います。
しかしながら、従業員が退職することは変わらないからという理由で、特段の理由なく従業員からの要望に応じ、「会社都合退職」として手続をしてしまうと、障害が出てきます。

例えば、しばらくの間、助成金申請ができなくなったり、従業員が裏切った場合には、後々従業員から「企業から解雇された。解雇は不当だ!」と主張されてしまうリスクがあります。

仮に、従業員から会社都合退職型式を希望する要望があったとしても、会社を守るためにも、その要望には慎重に対処しましょう。


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2019.08.02

強制捜査とは|弁護士コラム

今回は、刑事訴訟法にいう強制捜査について、それがいかなる捜査であるのかをご紹介したいと思います。

1 観点

刑事訴訟法(以下「刑訴法」といいます。)197条1項但書は「強制の処分は、この法律に特別の定めがある場合でなければ、これをすることができない。」旨を定めていますが、強制の処分(強制捜査)というのはどのようなものを指すのでしょうか。
強制捜査に当たるかについては、有形力の行使という観点と、個人の人権を侵害する行為という2つの観点から考えられています。

また、特に有形力の行使について、任意捜査においては有形力の行使は一切許されないとする考え方がありますが、裁判例は、任意捜査においても一定の有形力の行使を認めています。
最高裁は、任意捜査でも一切の有形力の行使が許されないわけではないとして、その限界を「個人の意思を制圧する」というところにおいています。そのため、相当程度強力なものでなければ、強制処分とはなりません。

2 強制捜査の意義

強制捜査にあたるか否かの基準として、裁判例が採用している基準は次の通りです。

【最高裁決定昭和51年3月16日】
「捜査において強制手段を用いることは、法律の根拠規定がある場合に限り許容されるものである。しかしながら、ここにいう強制手段とは、有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであつて、右の程度に至らない有形力の行使は、任意捜査においても許容される場合があるといわなければならない。ただ、強制手段にあたらない有形力の行使であつても、何らかの法益を侵害し又は侵害するおそれがあるのであるから、状況のいかんを問わず常に許容されるものと解するのは相当でなく、必要性、緊急性などをも考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容されるものと解すべきである。」

上記のように、強制捜査とは個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段をいうものとされています。
なお、有形力の行使については、必要性、緊急性などを考慮して、具体的な事情のもとで、相当であると認められる限度において強制捜査は許容されるものとされています。

3 まとめ

強制捜査についてご説明いたしました。強制捜査は個人に対し非常に強い制約を課すものですから、法定の手続が要求されています。任意捜査の原則がとられていることから、まず任意捜査が行われるというような場合であっても、有形力が伴うことが想定されます。

しかしながら、任意捜査であるから有形力がすべて排除されるわけではなく、具体的状況下において相当とされる有形力の行使が許容されています。
もっとも、その可否は個別の事案により検討する必要があり、場合によって相当ではないと考えられることもありますので、そのような捜査を受けた場合は、専門家に相談するのがよいかもしれません。

 


「家族が逮捕されたが、どうしたらいいか」「示談で済ませたい、処罰を軽くしたい」といった刑事事件に関するご相談を受け付けております。より良い解決方法を目指してサポートいたします。
ご相談のご予約は、KOMODA LAW OFFICE (菰田総合法律事務所)0120-755-687までお問い合わせください。

2019.08.01

任意捜査の原則|弁護士コラム

今回は、刑事訴訟法に規定されている任意捜査の原則について、ご紹介したいと思います。

1 強制処分法定主義

刑事訴訟法(以下「刑訴法」といいます。)197条1項但書は「強制の処分は、この法律に特別の定めがある場合でなければ、これをすることができない。」旨を定めています。これが強制処分法定主義と呼ばれるものです。一方で、同条本文は「捜査については、その目的を達するために必要な取調をすることができる。」と規定しています。

2 任意捜査の原則

強制処分に関する刑訴法197条1項但書と対比し、同項本文の規定(「捜査については、その目的を達するために必要な取調べをすることが出来る。」)は任意捜査の原則を指すものだというのが一般的な理解です(警察官に対する捜査規則である犯罪捜査規範99条は「捜査は、なるべく任意捜査の方法によって行わなければならない。」と、この原則を明示しています。)。

しかし、任意捜査の原則というのは、常に任意捜査が強制捜査に優先する、すなわち、任意捜査で行える場合には、強制捜査を行ってはならないということを意味するものとされているのではありません。

例えば、逮捕・勾留という人身の拘束については、逮捕・勾留しなくても捜査の目的を達することができる場合に逮捕・勾留を認めてはならないのは当然でしょう。

しかしながら、任意捜査ができる場合には強制捜査を行うことが許されないとすると、強制捜査を行う前に相手に逐一捜査を承諾するかどうか確かめなければいけないことになり、これは、不合理です。

また、任意捜査が可能な場合であっても強制捜査によるべき場合もあります。犯罪捜査規範は、住居については、たとえ住居主の承諾があっても任意捜査として捜査を行ってはならない、つまり住居については、必ず強制捜査を行わなければならないと定めています(犯罪捜査規範108条)。
これは、それだけでは、任意捜査の原則に反しているように思えるのですが、この規定は、警察官が相手方にむりやり承諾させて捜査をすることがないように任意捜査を許さないことにしたものです。

3 まとめ

任意捜査と一口に言っても、相手はいかに上手く捜査を行うかということを考えている捜査機関ですので、捜査機関のやり方によっては、完全に任意に応じているとまではいかない場合も考えられます。
そのような場合に協力しない選択も可能であるということを意識することは、ひとつ意義深いものといえるでしょう。

 


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2019.07.31

接待と「接待交際費」|弁護士コラム

「接待交際費」とは、法人税法上の「交際費等」のことを指し、「交際費等」とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先、その他事業に関係のある者等に関する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用」のことを言います。  

仕事をする中で、「新しく開発した商品の売り込み」や「お互いの親交を深める」ために、取引先の人と食事をともにすることがあると思います。

そのときにかかった費用は「経費」にすることができますが、「経費」の種類としてどこに当てはまるのでしょうか。どこに分類されても、「経費」であることには変わりありません。

しかし、経費のうちどの種類で計上するかは、法人にとってはかなり重要なことになります。 なぜかというと、資本金が1憶円以下の会社の場合、「接待交際費」に分類すると年間800万円までしか損金として計上することができないからです。

つまり、接待交際費は年間800万円を超えた場合、法人のお金が減るだけで、節税効果を得ることができません。以前の記事に書いたように、利益は「売上」―「経費」で計算され、「税金」は、この計算によって算出された利益に対して課税されます。ですので、「経費」になった方が、利益が減り、「税金」の額も小さくなることになります。

以上のことを考えると、「接待交際費」にするよりも、金額に関係なく「経費」にすることが可能な「会議費」とする方が良いと言えます。

そして、「会議費」として「経費」とするには、食事をともにする目的が会議なのかを判断し 、食事の費用が高額な場合には、議事録等を作成することで、会議をするための食事だったということを証明しましょう。


個人事業主の方や中小企業経営者の方で、労務や税務関係についてお悩みの方、KOMODA LAW OFFICEでは社労士法人・税理士法人も有しておりますので、確かなノウハウで事業者に合わせたご提案をいたします。ぜひ092-433-8711までお問い合わせください。

2019.07.30

「福利厚生費」と「会議費」|弁護士コラム

「仕事中のひとりカフェは経費になる?」という記事で、「経費」はひとりでカフェなどに行った場合でも適用されると説明しました。
では、仕事をしながらご飯を食べたときのご飯代はどうでしょうか。

ただご飯を食べているのではなく、仕事もしていますから、経費にしたいところですが、全てを経費にすることができません。ですが、「食事代の半分以上を従業員が負担している」、及び「会社が負担した金額が月額3500円以下である」場合は、食事代を「福利厚生費」として「経費」にすることが可能となります。

もし、複数人の打ち合わせだった場合は、「会議費」として「経費」にすることができますが、先述したように、打ち合わせだったことを証明するために、領収書などの裏に行った人の名前、また、行った目的、人数を記載することが必要です。


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2019.07.29

仕事中のひとりカフェは経費になる?|弁護士コラム

プレゼン作りや、資料の準備などで、ひとりで喫茶店やカフェに行き、仕事をすることがあると思います。
そのときお店で頼んだコーヒー代は「経費」とする対象になるのでしょうか。

会社ではない場所で、なおかつひとりなのだからならない、と思う方は多いと思います。ですが、これは会議費として経費にすることができます。
「会議費」という言葉だけを聞くと、2人以上ではないと成立しないのではないかと考えがちですが、喫茶店やカフェに行った目的が仕事だったのであれば、会議費として経費にすることができます。

ただ、仕事をしていたと証明するために、領収書やレシートなどの裏に、喫茶店などに行った人の名前、お店で何をしていたのかをメモして残しておいてください。 仮に、お店に行った目的が仕事をするためではなく、単にひと休みするためだったとします。

その場合は、「会議費」にすることができません。代わりに、「福利厚生費」とします。福利厚生費として経費にするためには、従業員全員が精算できる必要があります。そうでないと、「給与」となり、従業員が所得税を課されることになります。


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2019.07.26

マンション管理における税務|弁護士コラム

マンションの管理組合について特別に定めるような税制はありません。よって、実際の運用では、一般的な税制をマンションの管理組合に当てはめて解釈し、適用することになります。

なお、管理組合の形態としては、主に①人格のない社団等である管理組合②管理組合法人に分けられます。以下に、管理組合に課税される税について説明します。

(1)法人税
①人格のない社団等の場合
法人税法上、「人格のない社団等は、法人とみなして、この法律の規定を適用する」と定められています。そして、公益法人等と同様に、各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得についてのみ、法人税が課されます。

②管理組合法人の場合
管理組合法人については、区分所有法によって、「人格のない社団等」に該当する管理組合より不利になることを避けるため、法人税法及びその他法人税に関する法令の規定の適用については公益法人等とみなすとされています。そのため、収益事業から生じた所得に対してのみ法人税が課されるのです。

(2)住民税
「人格のない社団等」である管理組合と管理組合法人については、収益事業を行っているかどうかに関わりなく、まずは均等割の税が課され、加えて、収益事業を行っている場合には、収益事業に係る法人税割の税が課されます。

(3)事業税・事業所税
収益事業を行う場合について課税されます。

(4)消費税
消費税は、国内において事業者が行った資産の譲渡等に対して課されます。
そして、マンション管理組合は、その居住者である区分所有者を構成員とする組合であり、その組合員との間で行う取引は営業に該当しないため、消費税はかかりません。
しかし、例えば組合員以外の者に対する駐車場の貸付けに係るものは消費税の課税対象となります。


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2019.07.25

管理組合の会計の基準|弁護士コラム

管理組合の会計については、法律上統一的な会計基準として定められたものが存在しません。よって、その会計の基準をどこに置くべきかが問題となります。

会計の基準としてまず思い浮かぶのは企業の会計ですが、管理組合は、営利を目的とする団体ではないため、企業会計の基準をそのまま適用することは不適切です。
一方で、管理組合においても、財務報告の「利害関係者の意思決定に有用な情報を提供する」という目的は企業と変わりません。

よって、管理組合会計は、企業会計と共通する一般原則に加えて、管理組合会計に特有の原則によってなされるべきであると考えられています。

A 企業会計と共通する一般原則

企業会計と共通する一般原則としては、企業会計原則の「第一 一般原則」の7つの原則のうち、以下の5つの原則を管理組合の会計に準用すべきであると考えられています。
①真実性の原則
②正規の簿記の原則
③明瞭性の原則
④継続性の原則
⑤保守主義の原則

B 管理組合会計に特有の原則

公益財団法人マンション管理センターでは、管理組合の特性から導出される特有の会計原則として、以下の2つの原則を挙げており、標準管理規約の中に同趣旨の定めが含まれています。
①区分経理の原則
②予算準拠の原則


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2019.07.24

適正化法が定める管理組合財産の分別管理 |弁護士コラム

殆どの場合、管理組合の業務は、マンションの管理業者に外部委託されています。そして、マンション管理業者を規制する法律としては、平成12年に適正化法(マンションの管理の適正化の推進に関する法律)が公布されています。

この法律では、「マンション管理業者は管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国交省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない」と規定されています。

これを受け、適正化法規則87条2項1号では、マンションの管理業者に対し、以下に挙げるような方法によって、当該管理組合のお金を、自己の固有財産及び管理組合の財産と分別して管理することを求めているのです。

(例)
①マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金・管理費用を収納口座に預入し、毎月、その月分として徴収された修繕積立金・管理費用から当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を、翌月末日までに収納口座から保管口座に移し替え、当該保管口座において預貯金として管理する方法

②マンションの区分所有者等から徴収された修繕積立金・管理費用を収納・保管口座に預入し、当該収納・保管口座において預貯金として管理する方法


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