Komoda Law Office News

2020.01.11

マンションへの日照に関する売主等の説明義務(2)日照に関する売主の説明義務

日照の利益は、主に南側隣接地の利用形態によって確保されるものです。南側隣接地がマンション所有者とは別人の所有である場合、その土地の利用方法は他人の意思に委ねられるものなので、マンションの売主から南側隣接地の所有者に対して、「日当たりが悪くなるから高い建物を建てないでほしい」といった要望を出すことは難しいでしょう。
 
よって、一般的には、日照の利益は売主の裁量によって確保できない性質のものであるため、原則として、マンションの売主には、その売買において南側隣接地にどのような建築物が建てられる可能性があるのか、その建築物がマンションに与える影響等を調査し、その結果を買主側に正確に告知説明すべき義務は課せられていないと解されています。

一方で、売主側が、特に良好な日照をセールスポイントにしていたり、南側隣地の所有者からその利用形態に関する説明(例えば、隣地にこれから高層マンションを建設することが決まったため、日照が遮られることが予想されるといった事情)を買主に行う旨要請されていたような場合や、売主側が買主側に対し虚偽の説明や誤解を招くような説明をなした場合には、売主の説明義務違反が認められやすいと言えます。

2020.01.10

マンションへの日照に関する売主等の説明義務(1)売主の説明義務の根拠

売主が宅地建物取引業者の場合は、宅地建物取引業法により売主である宅地建物取引業者に説明義務が課されています。他方で、売主が宅地建物取引業者でない場合であっても、売主が事業者であり、かつ買主が消費者である場合には、当該契約は消費者契約として消費者契約法が適用され、売主に情報提供努力義務が課されます。

具体的には、消費者契約法3条1項は、

事業者は、次に掲げる措置を講ずるよう努めなければならない。
一 消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ、消費者にとって平易なものになるよう配慮すること。

と定めています。

 

言い換えると、消費者契約の締結について勧誘する際には、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努力するように、ということとなります。

これにより、売買契約が消費者契約に該当する場合は、そうでない場合に比べて、売主の説明義務がより重いものになっているものと考えられます。

2019.12.04

マンションからの眺望に関する売主の説明義務(4)眺望に関する売主の説明義務

マンションの売主は、居室からの眺望について説明する義務を負うのでしょうか。

裁判例は「眺望利益なるものは、個人が特定の建物に居住することによって得られるところの、建物の所有ないしは占有と密接に結び付いた生活利益であるものの、「それは、右建物の所有者ないしは占有者が建物自体に対して有する排他的、独占的支配と同じ意味において支配し、享受し得る権利ではない。」とし、「特定の場所からの観望による利益は、たまたまその場所の独占的占有者のみが事実上これを享受し得ることの結果としてそのものの独占的に帰属するに過ぎ」ないとしつつも、「このことは右のような眺望利益がいかなる意味においてもそれ自体として法的保護の対象となり得ないことを意味するものではなく、このような利益もまた、一個の生活利益として保護されるべき価値を有し得る」ものであり、「特定の場所がその場所からの眺望の点で格別の価値を持ち、このような眺望利益の享受を1つの重要な目的としてその場所に建物が建設された場合に、当該建物の所有者ないし占有者によるその建物からの眺望利益の享受が社旗観念上からも独自の利益として承認せられるべき重要性を有するものと認められる場合には、法的見地からも保護されるべき利益であるということを妨げない」(東京高決昭和511111)としています。

したがって、売主側が不動産売買の契約前の段階で眺望をセールスポイントにしていたり、販売後に売主側が自ら眺望を妨げる行為に出たりした場合には、売主の説明義務違反が認められやすいと言えます。

2019.12.03

マンションからの眺望に関する売主の説明義務(3)説明義務違反の効果

マンションの売買契約において、売主に説明義務違反が認められた場合には、実際に買主が被った損害について、売主に対してどのような請求ができるのでしょうか?

もちろん、「損害賠償」を請求することが可能です。
損害賠償の範囲については、信頼利益(契約締結に要した費用)の賠償を命ずる判例が多いようですが、信頼利益とは別に実際に発生した損害がある場合には、合わせて専門家に相談してみるのが良いでしょう。

なお、売主の説明義務を「信義則から導かれる売買契約上の付随的義務である」とした場合には、説明義務違反は「付随的義務の債務不履行」となります。
そして、付随的義務の不履行があったとしても、原則として相手方は契約の解除をすることができないとされます。

しかしながら、付随的義務の不履行であったとしても、それが契約締結の目的の達成に重大な影響を与えるような場合については、契約を解除することが認められます。

ただし、後から損害賠償請求が可能とは言え、居住にかかわる部分で後から違反が見つかった場合、迷惑を被るのは売主です。買主を信頼しつつも、きちんと売主にとって大切な内容が説明されているか等を注視しておく必要があるのではないでしょうか。

2019.12.02

マンションからの眺望に関する売主の説明義務(2)仲介業者に委託した場合の売主の説明義務

契約当事者が宅地建物取引業者に仲介を委託する場合には、売主の説明義務はどのような扱いとなるのでしょうか?

この場合、契約当事者の意思としては、原則として、重要事項の説明については自らが委託した宅地建物取引業者が行うものとしてその説明に委ねているということができます。よって、売主本人は買主に対し説明義務を負いません。

しかしながら、例外的に売主も説明義務を負うケースもあるので注意が必要です。

 

〔例外的に売主も説明義務を負う場合〕
①大阪高判平成16.12.2
売主が買主から直接説明することを求められ、かつ、その事項が購入希望者に重大な不利益をもたらす恐れがあり、その契約締結の可否の判断に影響を及ぼすことが予想される場合には、売主は、信義則上、当該事項につき事実に反する説明をすることが許されないことはもちろん、説明をしなかったり、買主を誤信させるような説明をすることは許されないというべきであり、当該事項について説明義務を負う。

②東京地判平成9.1.28
売主は売買契約に向けて仲介業者に委託している以上、仲介業者を売主の履行補助者とみて、指導要綱の説明義務違反について売主も責任を負う。

 

2019.12.01

マンションからの眺望に関する売主の説明義務(1)売主の説明義務の根拠

マンションを含む不動産の売買は、高額なお金をやり取りすることとなるため、契約締結に至る過程での売主の説明内容はかなり重要です。
もし売主の交渉段階での説明不足が原因で買主に損害を与えた場合は、あくまで契約成立前の段階(交渉段階)で問題となる責任であるため、売買契約上の責任(債務不履行責任)ではなく、民法上の不法行為責任(民法709条)に該当すると考えられることが多いようです。

しかしながら、売買契約締結前であっても、売主の説明義務違反として契約上の責任を追及することができる場合があります。
そもそも、売買契約における売主の義務は、契約の目的物である財産権を買主に移転することなので、説明義務自体は本来的な売主の義務に含まれません。
ただ、信義則から導かれる売買契約上の売主の付随的義務として「説明義務」が認められる場合もあり、この説明義務違反に対して債務不履行責任が成立する場合もあります。

また、宅地建物取引業者が自ら売主となったり、仲介業者として介在したりといった形態で不動産の売買契約が行われるケースも多く見られます。
この場合、宅地建物取引業者は、売買契約等が成立するまでに、宅地建物取引士として、重要事項を記載した書面を交付して説明させなければならないと定められています。

2019.11.28

自社キャラクターのオリジナルグッズ製作費は経費になる?

自社のキャラクター、着ぐるみを制作し、次はオリジナルグッズを作ることが決定しました。取引先、お客様などに会社の名前が入ったボールペンやタオルを配る目的です。

では、オリジナルグッズの製作費は「経費」にすることができるのでしょうか。

この場合は、「広告宣伝費」として「経費」にすることが可能です。ただ、あくまでオリジナルグッズを作る目的は宣伝です。

そのため、グッズには会社名が入っていることが必須となります。社名を入れてしまうと、なかなか使ってくれない、といった場合には会社名ではなく、会社のホームページアドレスを入れることも可能です。

宣伝目的で作っているものになるため、宣伝要素が何も入っていないとなると「広告宣伝費」ではなく「接待交際費」と判断されかねませんので、気を付けてください。

上記では、オリジナルグッズについてお話しましたが、図書カードだった場合はどうでしょうか。

この場合も、「広告宣伝費」として「経費」にすることが可能です。ただし、条件として「限定された人だけでなく、不特定多数の人に配るものであること」「1枚あたりの単価が1000円以内であること」「現金と同等の役割を果たすものではないこと」を満たさなければなりません。

「広告宣伝費」にするためには、会社名や会社のホームページアドレスの記載、限定された人だけに配らない等の条件を満たす必要がありますが、条件を満たせば経費とすることができますので是非活用してみてください。


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2019.11.27

自社キャラクターの着ぐるみ製作費は経費になる?

自社のキャラクターを制作したあと、そのキャラクターの着ぐるみを制作しました。

キャラクターを制作した場合は、時間をかけて毎年少しずつ経費として処理をしていく、「減価償却」の方法をとっていました。着ぐるみの場合も同じ方法をとるのでしょうか。

着ぐるみは、制作するとそれを着てイベントに出演したり、どこかで広告を配ったりと、多くの人と触れ合う機会がほとんどです。時には、キックされたり、雨で汚れてしまったりすることもあります。

これらを踏まえると、キャラクターのように5年間かけて「減価償却」することが難しい可能性もあります。では一体、どのようにして経費にするのでしょうか。

着ぐるみの場合、使用することのできる期間が1年未満であれば、着ぐるみを作ったときにその費用をすべて「経費」にすることができます。ただし、大きなダメージを受けない限り1年以上は使用できるはずです。したがって、着ぐるみもキャラクターを制作した場合と同様に、「減価償却資産」として、減価償却していくことになります。

では、着ぐるみの法定耐用年数はどのようになるのでしょうか。着ぐるみの場合は、耐用年数省令別表一に挙げられている項目に該当していませんので、「その他のもの」と考え、期間は5年間と考えられることが一般的です。


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2019.11.26

自社キャラクター製作費は経費になる?

  • ある会社では、自社のオリジナルキャラクターを製作しています。この場合、このキャラクター制作にかかった費用は「経費」にすることができるのでしょうか。
  • 私たちの周りには、たくさんのキャラクターが存在していて、それによる宣伝効果というのはとても大きなものです。また、キャラクターは作ったときのみではなく、何年、何十年・・・と宣伝効果が継続していきます。
  • そのため、制作にかかったときの費用のみを経費にするのではなく、一度「資産」に計上してそこから毎年、時間をかけて少しずつ経費にしていくことが原則となっています。
  • これを「減価償却」といいます。
  •  
  • 先ほど、キャラクターは何年、何十年と宣伝効果が続いていくとお話しましたが、きっちり何年続くか、というのは誰にも分かりません。ですので、基準となる年数が定められています。
  • ○キャラクターの商標登録を行ったとき  ・・・・ 10年
    ○キャラクターの商標登録を行わなかったとき・・・・ 5年
  • 10年とは、商標登録の有効期限のこと、5年とは、通常の減価償却と同じ期間です。  
  • 上記のことは、会社やブランドのロゴなどを制作したときと同一の考え方になりますので、ロゴを制作するとなった場合にも参考にしてみてください。

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2019.09.02

会社員が起業するときに注意すること③個人事業と法人の違い

「起業したい!」と考えているものの、「個人事業と法人の違いが分からない…」「個人事業と法人のどちらにしたらいいの?」という方もいらっしゃるかと思います。そこで、今回は個人事業と法人の違いについてご説明いたします。

個人事業 法人
設立費用 税務署に届出をするだけで開業でき、費用はかからない ・資本金
・設立費用(株式会社を設立する場合、登録免許税や定款の認証手数料等、最低でも25万円ほど) が必要
社会保険 従業員が5人未満であれば加入しなくてもよい 社長1人でも加入する必要がある
⇒社会保険料を負担しなければならない
税金 ・所得税
・1年間に290万円超の所得がある場合は個人事業税
⇒利益が大きくなれば、法人よりも税金が高くなる
・国税
・県税
・市税
決算期 12月31日 好きな時期に設定できる
確定申告 3月15日まで 決算日から2か月後
会計処理 法人と比較すると容易 煩雑
⇒場合によっては税理士に依頼する必要があるため、費用がかかる
赤字 1年間の収支が赤字であれば、所得税がかからない
繰越欠損:青色申告なら3年間
1年間の収支が赤字の場合、法人住民税の均等割がかかる
繰越欠損:9年間(平成30年度4月1日以後開始事業年度 10年間)
信用度 法人と比較すると低い
⇒融資を受けるのが難しい
個人事業と比較すると高い

両者ともメリット・デメリットがあるので、どちらにすべきというものはありません。この記事を参考にしていただき、自分には個人事業と法人のどちらが合っているかを検討していただけたらと思います。


起業をお考えの方や労務関係でお悩みの経営者の方はKOMODA LAW OFFICE(菰田総合法律事務所)へご相談ください。
博多・那珂川に各オフィスがあるので、お住まいや職場に近いオフィスで相談可能です。
福岡県内(福岡市、那珂川市、大野城市、糸島市…)、佐賀県など九州各県の方もお気軽に0120-755-687までお問い合わせください。

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