給与と損害賠償金の相殺の可否
当社営業部の従業員Aは、社用車を運転して外回り営業をする際に居眠り運転をし、道端の建物に衝突する事故を起こし(以下「本件事故」といいます。)、して社用車を大破させてしまいました。
幸い怪我人は出なかったのですが、当社は、建物の所有者に対する修繕費用相当の賠償金50万円と社用車の修理代30万円を負担せざるを得ませんでした(※自動車保険、賠償責任保険等は利用しなかったものとする。)。
当社としては、Aの不注意で生じた本件事故によって、上記賠償金と社用車の修理代の合計80万円の損害を被っていますので、Aに対しこれらの損害の賠償を求めたいと考えています。そこで、毎月の給与から天引きする形で支払わせたいのですが、このようなことは可能でしょうか。
回答
⑴賃金全額払の原則
二者間で相互に相対立する金銭債権を有する場合は、通常であれば、一方から他方に対する意思表示(相殺権の行使)によって、両債権を対当額(等しい額)で相殺し、消滅させることができます。
もっとも、原則として、給与(賃金)は、その全額を現金で労働者に支払わなければならず、使用者側が一方的にその一部を控除することは許されません(労働基準法24条1項本文)。
そのため、労働者が使用者に対し、故意又は過失によって損害を被らせたとしても、使用者側からの一方的意思表示によって、労働者に対する債務不履行(民法415条)又は不法行為(同法709条)に基づく損害賠償請求権と、労働者の使用者に対する賃金債権を相殺することはできないこととされています (債務不履行事案につき、最判昭和31年11月2日民集10巻11号1413頁。不法行為事案につき、最大判昭和36年5月31日民集15巻5号1482頁)。
⑵合意による相殺
もっとも、判例によれば、賃金債権の放棄の意思表示が労働者の自由な意思に基づくことが明白な場合は、労働者がした賃金債権を放棄する旨の意思表示は有効と判断されています(最判昭和48年1月19日民集27巻1号27頁)。
また、使用者が労働者の同意を得て相殺により賃金を控除した事案に関し、「労働者がその自由な意思に基づき右相殺に同意した場合においては、右同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき」は、当該同意による相殺は労働基準法24条1項に反しないとの判断も見られます(最判平成2年11月26日民集44巻8号1085頁)。
したがって、労働者が自己の使用者に対する賃金債権と損害賠償債務とを相殺し、両債権を消滅させるとの意思表示をし、使用者との間で合意に達した場合は、当該意思表示(相殺への同意)が「労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する」といえるのであれば、賃金債権と損害賠償債権を相殺することも許されるものと考えられます。
⑶小括
上記のことから、貴社が一方的にAの給与から損害賠償金相当額を天引きすることは許されませんが、貴社とAとの間で協議を行い、相殺合意を交わすことができれば、給与から損害賠償金相当額を天引きすることも、労働基準法24条1項に反せず許される余地があります。
もっとも、そのためには、上記相殺合意がAの「自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する」といえることが必要となります。
⑴基本的観点
Aとの間で給与天引きを内容とする相殺合意を交わすことができるとして、当該合意が「労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する」(以下、単に「合理的理由の存在」といいます。)といえるためには、どのような事情が必要となるのか、以下検討します。
判例上、合理的理由の存在の判断基準は必ずしも明らかではありませんが、一般に、使用者と労働者との間には一定の力関係(従属・支配関係、指揮命令関係)が存することを踏まえると、単に相殺合意を交わしたというだけでなく、当該相殺合意の内容が労働者側にもメリットがあるか、あるいは労働者の側も相殺に期待しているといい得る事情があるかどうかがポイントとなるでしょう。
具体的には、例えば以下のような観点から、合理的理由の存在が認められるかを判断することとなるもの考えられます。
⑵事故原因・責任
まず、Aとしては、本来的に自身が貴社に対する損害賠償責任を負うのでなければ、そもそも給与との相殺に応じる理由も利点も無いため、本件事故の主要な原因がAの過失にあるといえることが必要となるものと考えられます。
本件においては、Aの居眠り運転が主要な原因となって本件事故が発生したと考えられるため、この点はクリアできそうです。
もっとも、仮に本件事故当時、Aが貴社の都合で長時間労働を続けており、過労の状態にあったというような事情があれば、Aの居眠り運転は貴社に起因する事情であり、Aは貴社に対する損害賠償責任を負わないとの判断もあり得ます。
そのような場合には、Aが貴社との間での相殺合意に応じる理由、利点は乏しいため、形式上は相殺合意が成立したとしても、合理的理由の存在は認められず、無効となる可能性があるでしょう。
⑶相殺の額
労働者の過失により使用者が損害(あるいは、第三者に対する損害賠償義務(使用者責任。民法715条1項)。)を被ったとしても、使用者は労働者を使用して利益を上げていることから、信義則上、必ずしも当該損害全額の賠償を求めることはできないとされます(最判昭和51年7月8日民集30巻7号689頁等。なお、割合的には、労働者に請求できるのは、使用者が被った全損害のうちの2分の1~4分の1程度とされることが多いとされます。)。
そのため、本件事故の原因、態様等にもよりますが、相殺合意による天引きの総額が、本件事故により貴社が被った損害の大半を占め、その額もAの月給の額と比して高額に上るようであれば、Aには貴社に対して負うべき賠償義務の額を上回る額の負担が課されているとの疑いがあり、やはり合理的理由の存在は認め難いものと考えられます。
⑷月給に対する天引きの割合
民法510条、民事執行法152条1項2号の解釈上、給与の額の4分の3は差押が禁止されており、(一方的意思表示としての)相殺に供することはできないとされています。
そのため、本来相殺権を行使できない、給与の4分の1を超える額について相殺を可能とする旨の相殺合意を交わしたような場合は、当該合意は労働者側にとって不利であり、労働基準法24条1項の潜脱の疑いもあることから、合理的理由の存在を疑わせる事情となります。
⑸両当事者の関係を清算できるか否か
Aが貴社に対し損害賠償義務を負う場合には、Aとしては、貴社に対する損害賠償義務を現実に履行するよりも、相殺によって貴社との債権債務関係を清算するという期待を有することも合理的といえます。
そのため、相殺合意によって、自身が負う損害賠償責任を一挙に解決(清算)することができるのであれば、Aには相殺合意をする合理的な動機があるものといえます。
他方、相殺合意による天引きが損害賠償額の一部に止まり、残額については別途協議を行うといった形であれば、Aにとっては、どの程度の損害賠償責任を履行しなければならないのかという不安定な地位が継続することとなり、そのような中間的な合意をすることには必ずしも合理性があるとはいえませんから、合理的理由の存在が認められるかは疑わしいものといわざるを得ません。
このような点から考えれば、相殺合意の内容として、貴社はAに対し、当該合意で定めた相殺(天引き)の額以上の損害賠償金の支払は求めないことを意味する清算条項(本件事故に関し、当該合意で定めたものの他には債権債務が無いことを確認する、といった条項。)を設けるなどしておけば、Aの地位の不安定化は避けられ、一回的解決が叶うことから、Aの側にもメリットがあるものということができ、これによって合理的理由の存在が基礎づけられると考えられます。
最後に
以上のとおり、貴社は、Aとの間で協議を行った上で、上記2の内容を踏まえた相殺合意を交わすことができた場合には、Aの給与から天引きする形で損害賠償金を支払わせることも可能と考えられます。
なお、相殺合意を締結する際には、口頭の合意のみによるのではなく、合意した事実及び内容、ひいては前記合理的理由の存在を立証し得るようにするため、書面(合意書)を作成し、Aに確認させて記名押印をもらうようにしておかれるべきでしょう。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。
政府保障事業を利用することができない場合|弁護士コラム
政府保障事業は、国が被害者に対し交通事故による損害を補償する制度のことです。
なお、政府保障事業が利用できるケースは、「被害者が加害者から損害賠償を受けることが出来ずに被害者が利用できる社会保険を使用しても不足するとき」に限られています。
つまり、損害の補償を受けることが出来ない被害者を救済する、最終手段として位置づけられているのです。そのため、加害車両が自賠責保険に加入している場合は、被害者請求により保険金の請求が可能となるため、政府保障事業を利用することは出来ません。
それでは、被害者側が損害賠償を受けられない事故とは、どの様な状況を想定しているのでしょうか?
一般的に、『ひき逃げ等により加害者の特定が困難な交通事故・加害車両が無保険である交通事故により被害を受けたケース』で利用されることが多い制度となっています。
例えば、ひき逃げによる被害を受けた場合、加害者の特定できないため、加害者・加害車両が加入する保険会社に対し請求が行えません。
そのため、政府保障事業を利用することができます。この場合、交通事故の被害にあったことを証明する必要があるため、警察が発行する交通事故証明書が必要となります。
仮に、軽い当て逃げで、その場では怪我がなく、痛みも感じない状況であったとしても、後々事故の影響により痛みが出ることもあります。
警察は加害者が逃亡していたとしても事故の処理を行ってくれます。必ず警察に連絡をすることを怠らないようにすることが大切となります。
また、医療費について、社会保険の給付が可能な部分については政府保障事業による補償の対象とはなりません。
交通事故のトラブルでお悩みの経営者の方、KOMODA LAW OFFICE(菰田総合法律事務所)にご相談ください。解決までしっかりサポート致します。博多・那珂川にオフィスがあるので、お住まいや職場の近くのオフィスで相談可能です。福岡県内(福岡市、粕屋郡、古賀市、北九州市…)、佐賀県など九州各県の方もお気軽に0120-755-687までお問い合わせください。
被害者請求ができない場合|弁護士コラム
通常、交通事故で被害者となり、加害者から損害の賠償がなされない場合、自賠責保険会社(以下、「自賠責」といいます。)に対して被害者請求を行うことになります。
しかし、現実には全ての自動車が自賠責保険に加入しているとは限りません。自動車の中には、一切保険に加入していない自動車があることも事実です。もし、自賠責保険に加入していない自動車や盗難車による交通事故の被害を受けた場合、被害者は自賠責保険からの補償を受けることが出来ません。
また、ひき逃げにより加害者が特定出来ない場合も同様です。
その様な状況に陥った場合、被害者は加害者から直接の補償を受けられない限り、何らの補償を受けることが出来なくなります。
実は、その様な状況を避けるためにも、政府が被害者を救済するために、政府保障事業というものが存在しています。
政府保障事業は、国が被害者に対し交通事故による損害を補償する制度です。政府保障事業が利用できるケースは、「被害者が加害者から損害賠償を受けることが出来ずに、被害者が利用できる社会保険を使用しても不足するとき」に限られています。
つまり、損害の補償を受けることが出来ない被害者を救済する最終手段として位置づけられているのです。
そのため、加害車両が自賠責保険へ加入している場合は、被害者請求により保険金の請求が可能となるため、政府保障事業を利用することが出来ません。
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ひき逃げ・無保険車との事故|弁護士コラム
自賠責保険に加入していない自動車や盗難車両による交通事故の被害にあった場合や、ひき逃げ事故により加害者が判明していない場合、被害者はどの様な方法で補償を受ければ良いのでしょうか。
今回はその様な事態に陥ったときに補償を受ける方法についてご説明致します。
通常、自動車(農業作業用小型特殊自動車を除く)や原動機付自転車を運転するには、法律によって自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)、または自動車損害賠償責任共済(責任共済)への加入が義務付けられています。
そのため、交通事故で被害者となり、加害者から損害の賠償がなされない場合、自賠責保険会社(以下、「自賠責」といいます。)に対して被害者請求を行うことになります。
被害者請求では、被害者は、加害者に代わり加害者の加入している自賠責に対し、損害賠償請求を行うことが可能です。
また、当面の費用が必要となる場合、損害賠償額の一部を仮渡金として請求することができます。
自賠責から保険金が支払われるまでには、「被害者側が必要書類を揃え自賠責に請求を行い、自賠責による審査を経たうえでの支払い」という流れになるため、一定の日数を要します。
しかし、支払いがなされるまでの期間、経済的に困窮してしまう方もいらっしゃるため、その様な方を救済するために仮渡金の制度が設けられています。
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任意保険の保険金請求について(自動車保険)
自賠責保険と同様に、任意保険の場合にも、「加害者(被保険者)の請求」と「被害者の請求」の2種類があります。
まず、「加害者(被保険者)の請求」について説明します。「加害者(被保険者)の請求」の場合、通常、加害者が加入している任意保険会社に保険金請求の手続きを行っていれば、任意保険会社が被害者との間で示談交渉を代行し、示談成立後に保険金を被害者に支払ってくれます。この場合には、任意保険会社が自賠責保険の請求手続も一括して行いますので、加害者は別途に自賠責保険へ請求手続きを行う必要はありません。
次に「被害者の請求」の場合について説明します。任意保険会社への請求は、自賠責保険への請求とは異なり、保険契約者からの請求が原則です。任意保険会社は、あくまで保険会社にすぎないため、被害者に対する損害賠償の支払義務を負っているわけでありません。損害賠償の支払義務を負うのは、あくまで加害者であり、被害者は一度加害者に請求し示談が成立した後でなければ、任意保険会社からの支払いを受けることはできません。
では、如何なる場合も被害者による直接請求は認められないのでしょうか。
任意保険の場合でも、被害者による直接請求が認められる場合があります。具体的には、保険契約約款に、被害者による直接請求権の行使が定められている場合です。
ただし、この直接請求は法律上の権利ではなく、保険約款上被害者に認められた権利にすぎません。したがって、被害者よる直接請求権が保険約款で規定されていない場合には,被害者による直接請求は認められないということになりますので、注意が必要です。
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強制保険の保険金請求について(自動車保険)
自賠責保険とは、交通事故の被害者救済を目的に国が事業として行っている保険です。
交通事故による自賠責保険の保険金の請求方法には、次の2種類があります。
1つめは、「加害者請求」です。「加害者請求」では、加害者自身が被害者に損害を賠償した範囲内で、自賠責保険会社に対し、保険金の支払いを請求することができます。ただし、この請求は領収書や必要書類を添えた上で、加害者が被害者に支払いをしてから3年以内に行わなかった場合は、時効になります。
2つめは、「被害者請求」です。当事者による示談が円満に解決しないような場合、被害者は加害者に損害賠償を請求する代わりに、加害者が加入する自賠責保険に対し損害賠償額の支払いを直接請求することができます。また、当面の費用が必要な場合には、損害賠償額の一部を仮渡金として請求することもできます。
通常、自賠責から保険金が支払われるまでには、「被害者が必要書類を揃え、自賠責に請求を行い、自賠責による審査を経たうえでの支払い」となるため、一定の日数を要します。しかし、支払いがなされるまでの期間、経済的に困窮してしまう方もいるため、その様な方を救済するために仮渡金の制度が設けられています。
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強制保険と任意保険(自動車保険)
自動車保険には、法律によって自動車の所有者が必ず加入しなければならない保険(=強制保険)と、所有者や運転者が任意で加入する保険(=任意保険)の2種類があります。
はじめに、強制保険(自動車損害賠償責任保険=自賠責保険)についてご説明します。
自動車(農業作業用小型特殊自動車を除く)や原動機付自転車は、自動車損害賠償責任保険(以下、「自賠責保険」といいます。)、または自動車損害賠償責任共済(責任共済)に加入していなければ、公道を走行することができません。要するに、自動車(農業作業用小型特殊自動車を除く)及び原動機付自動車の所有者は、その意思にかかわらず、自賠責保険に加入する義務があります。
そして、自賠責保険の補償の範囲は、人身事故に限られ、物損事故は補償の範囲外となります。これに加えて、自損事故(運転者が自ら単独で起こした事故のことを言います。)も補償の範囲外となります。また、賠償額にも上限があるため、自賠責保険だけでは十分に損害を賠償することができるとは限りません。
これに対し、所有者や運転者が任意で加入する任意保険(損害保険会社などの自動車保険)は、人身事故による高額な損害賠償や物損事故、自損事故等の、自賠責保険では補償されない範囲も補償されます。また、任意保険は補償内容を自分で決められるため、目的に合わせた形で補償範囲を設定することが可能です。相手を事故により、死亡させてしまった場合、今やその賠償金額が億を超えることも珍しくありません。このような損害賠償に備えるためにも、任意保険に加入することをお勧め致します。
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事故現場でしてはいけない対応
軽い交通事故などであれば、事故現場で即決示談をされる方がいらっしゃいますが、示談は原則としてやり直しが出来ません。出会い頭の衝突や接触事故のように、事故原因に微妙な要素がある場合は、お互いの過失の程度や、正確な損害額もその場では分からないはずです。
また、交通事故発生時点では身体に異常がなかったとしても、交通事故から数日後に身体に痛み等の症状が出ることもあります。
そのような場合でも、一度示談に応じていると追加で請求することは難しくなるため、全ての状況を把握したうえで示談に応じることをお勧めします。数日後に身体に痛み等の症状が出てから、即決示談したことを後悔しても遅いのです。
数日後に急な痛みが生じてから、後悔するのでは遅いのです。また、交通事故の現場で相手方から念書の作成を要求されても応じないようにしましょう。
念書とは、ある事柄について、どのような条件(内容)で約束をしたのかを文章にしたものです。例えば、過失割合が5:5の交通事故であったとしても、当事者の一方が『 今回の事故は、全て私の責任です』という趣旨の念書を作成し相手方に渡していると、後々の示談交渉や訴訟のなかで、重要な証拠の一つとされてしまい、大きな損失に繋がることもあります。
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交通事故に遭った際の後日対応
交通事故により、怪我をした場合であれば、当然に病院へ行くと思います。しかし、外傷が無くとも首・肩等に痛みや違和感を覚えた場合にも、絶対に病院へ行くようにしましょう。
また、病院へ行った際には、加害者が加入する自賠責若しくは任意保険会社(以下、併せて「保険会社等」といいます。)への保険金請求のために、医師から診断書を書いてもらいましょう。交通事故に遭った直後は怪我も無く、痛み等も感じていなかったのに、数日後に急な痛みが生じることもあります。
2週間以上経過して病院に行った場合、『本当に交通事故が原因の怪我(痛み)なのか?』といった疑いが生じ、保険会社等から保険金の支払いを拒否される可能性があります。そのような事態を避けるためにも、交通事故から遅くとも10日間以内には、病院へ行くことをお勧め致します。また、病院を利用した際には診断書を取得し、交通事故を処理した警察へ届出を行い、物損事故から人身事故への切り替えを行ってもらう必要があります。
また、交通事故の被害の大きさに関わらず、自分が加入する任意保険会社に連絡し、事故のことを報告しましょう。人身事故については、事故発生日の翌日から60日以内に報告しないと、任意保険会社から保険金を支払って貰えないケースもあります。ご自身の任意保険を利用されるか否かは、任意保険会社の担当者の方と協議をされてみてください。
保険を利用することで、保険金は支払われますが、保険の等級が変動したことで、その後の保険料が高くなり、結果として保険を使わない方が良かったといった事態になる可能性もあります。この点は、任意保険会社担当者の方に試算をお願いすれば、検討してもらえます。
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事故直後に取るべき措置
交通事故に遭った際、初期対応を誤ると後々問題が複雑化したり、場合によっては長期化することがあります。不運にも交通事故の被害者になったとき、被害者としてすべきことを順に説明していきます。
① 状況確認
加害者も被害者も当然に行うべきですが、まずは死傷者がいないか、車両に損傷がないか等の事故状況の確認をしましょう。また、車両事故の場合、被害が拡大しないよう、車両を路肩に寄せるなどの対応も必要です。
② 負傷者に対する救護
➀と同様ですが、負傷者がいる時は、すぐに救急車を呼びましょう。救急車の到着までに時間を要する場合は、可能な範囲で応急措置をするなど適切な対応が求められます。一人で通報や応急処置を行うことが困難な場合、目撃者や通行人に協力をお願いすることも一つの手段です。
③ 警察への連絡及び加害者の連絡先等の確認
警察への届出及び加害者の連絡先等の確認は、後々、交通事故にかかる諸問題を解決するために重要な事項です。交渉すべき相手方を特定するためにも、『①相手方の氏名・住所・電話番号 ②相手方の勤務先 ③相手方の自賠責保険・任意保険の契約会社及び契約番号』は、必ず確認する必要があります。
また、交通事故によくあるケースとして、相手方から「お金はきちんと支払うので、警察への届出はしないで欲しい。」といった話を持ち掛けられることがあります。しかし、相手方の話を信用して警察への通報を行わなかった場合、保険の請求に必要な「交通事故証明書」を入手することができなくなります。このような事態を避けるためにも、加害者が警察への連絡を拒否する場合は、必ず自分で連絡をするようにしましょう。
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