Komoda Law Office News

2022.03.14

ビジネスモデルに関する特許の取得可能性

法律に関するコラムをKOMODA LAW OFFICEの弁護士が執筆します

はじめに

ICT(情報通信技術)を用いるなどして、商品の販売や事業活動の促進等に寄与するビジネスモデル(ビジネス方法)を考案、構築し、事業活動上の成果を挙げている場合、考案者としては、当該ビジネスモデルを同業他社等に模倣、利用されることを防止し、当該ビジネスモデルによって得られるであろう利益の独占を欲することが考えられます。

もっとも、一定のビジネスモデルを考案したとしても、それ自体が特許として認められることは無いとされます。
すなわち、以下、ビジネスモデルの実施に当たり、いかなる条件が整えば、特許取得の可能性があるか、概観します。

特許庁 

1.特許取得の要件

特許法上の特許を取得するには、「発明」(特許法2条1項。「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」。)に該当することを前提として、当該発明につき産業上の利用可能性があること(同法29条1項柱書)、特許出願前に公然となっていないこと(同項各号。新規性)、容易に発明できないこと(同条2項。進歩性)、先に出願されていないこと(同法29条の2。先願性)、公序良俗等に反しないこと(同法32条)を要します。
これらの要件に該当しなければ、特許取得の前提を欠くこととなります。

2.「発明」該当性

(1)ビジネスモデルに関し、最も問題となり得るのは、「発明」に該当するか否か、という点です。
すなわち、ビジネスモデルの考案それ自体が特許の対象となるわけではなく、「ビジネス関連発明」といい得るものでなければならないのです。

(2)特許法2条1項の規定する「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」をいいます。
ここで、「自然法則」とは、自然界において一定の原因によって一定の結果をもたらす科学的な法則を意味し、判例上も、自然力を利用した手段を施していない考案は発明に該当しないものとされています(最判昭和28年4月30日)。

また、「特許・実用新案審査基準」(以下、審査基準という)第Ⅱ部第1章1.1によれば、「自然法則を利用」していない創作とは「自然法則以外の法則(例えば、経済法則)、人為的な取決め(例えば、ゲームのルールそれ自体)、数学上の公式、人間の精神活動に当たるとき、あるいはこれらのみを利用している」ものをいうとされています。

そうすると、自然力を利用した科学的な法則によらず、人為的な方法論に止まるようなビジネスモデルは、「発明」には当たらないこととなります。
この点で、一定の営業方法や業務効率化の方法等を構想したとしても、それ自体が特許として認められることは無いものといわざるを得ないです。

(3)もっとも、あるビジネスモデルが、コンピュータ、ネットワークその他の自然法則に基づいて成立した装置を不可分の要素として用いること等により、全体として自然法則を利用しているものといえる場合には、「発明」に該当する余地があります(例えば、コンピュータソフトウェアを用いた商品の売上予測プログラム等)。

それゆえ、特定のビジネスモデルが、単にパーソナルコンピュータ等の機器を用いて情報の検索、入力、出力等を行うことが可能であるというに止まらず、ネットワークからの情報収集やコンピュータを用いた分析、演算処理を不可欠の要素として介在させるものであれば、「発明」に該当する余地があると思われます。

3.その他の主な要件

(1)進歩性
上記「発明」に該当したとしても、公知の技術に基づいて、その分野の一般の専門家(当業者といいます)が容易に発明することができたといえるようなものであれば、特許取得は認められません。
そのため、既存の技術やシステムからは容易には考案できないとか、「発明」を利用した際の効果の面で、既存のものよりも有利であるといった事情が必要となります。

(2)新規性
特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明(特許法29条1項2号)は、特許の要件を充たさないところ、考案し、実施しているビジネスモデルが、既にインターネット等で広く公開されており、公開された内容どおりの手法で使用されているものであれば、「公然実施をされ」たものとして、特許の要件を充たさないものと考えられます。

そのため、自ら考案したビジネスモデルを実施するに当たって、特許取得を考えているのであれば、インターネットや書籍等で公開することは控えるのが賢明であると思われます。

4.実例

例えば、とある飲食チェーン店においては、来客の要望に応じて好みの量のステーキを提供することをセールスポイントにしているところ、同店においては、多数の来客の肉の注文量を従業員が混同することを防止するため、個々の来客の注文に応じてカットした肉を計量し、計量した肉のグラム数とテーブル番号が記載されたシールを出力する計量機を導入しています。

各テーブルに番号を付し、札によって区別するとともに、肉の計量とシール出力が可能な計量機を導入して、当該シールを出来上がった料理に配するというシステムにより、個々の来客の注文を従業員が混同するのを防ぎ、業務の円滑化と上記セールスポイントの実現に繋げているわけです。

このようなステーキの販売、提供システムは、ビジネス関連発明と認められ、特許取得に至っています。

 

5.おわりに

以上のとおり、ビジネスモデルを考案し、実施する上で特許取得を企図するのであれば、何らかの「自然法則」を利用した技術的創作である必要がありますが、ICTを不可欠のものとして利用しているような場合も「自然法則」を利用する場合に該当します。

したがって、ICT利用の促進と相まって、それをシステム内に組み込んだ革新的なビジネスモデルを考案すれば、特許を取得し、当該モデルを自社で独占的に利用することも可能となる余地があります。

菰田総合法律事務所では企業法務に関する法律相談も承っております。
ぜひお問い合わせください。

弁護士:久富 達也執 筆
KOMODA LAW OFFICE
弁護士
久富 達也 TATSUYA HISATOMI
座右の銘は「不知為不知。是知也。」(知らざるを知らずと為す。これ知るなり。出展:論語・為政)

 

2021.10.26

これってパワハラ?ケース別に見るパワーハラスメント

最近、ニュースなどでパワーハラスメント(略してパワハラ)という言葉をよく耳にするようになりました。
パワハラの定義については一般的に、「職場での立場を利用したいじめ、嫌がらせ、職場環境を悪化させる行為」を指す言葉として使われます。
しかしながら、職場でのいじめや嫌がらせという概念は昔から存在しており、それについての裁判例もありますが、「ハラスメント」というキーワードが世に広まったことから多くの問題・トラブルも知られるようになりました。たとえどのような理由だとしても、精神的苦痛に感じる発言や暴力を受けることはあってはならない問題といえます。
パワハラの被害者、加害者にならないために、パワハラの要因や防止策について考えてみましょう。

1.パワハラが起こる要因

一日の多くを過ごす職場では、様々な人とのやり取りが欠かせません。上司、部下、同僚など、多くの人とコミュニケーションを取りながら業務にあたっている方が大半ではないでしょうか。
そんな中で最も起こりやすいのが、上司と部下での力関係によるパワハラです。
人事評価をする上司の発言や行動は、対象者である部下にとって大きな影響を受ける場合があります。
部下を指導する際の理不尽な発言や人格を否定するような暴言、行き過ぎた叱責、仕事をさせない・・・などの嫌がらせが要因でパワハラと訴えるケースが多く見られ、その他には、部下の態度がきっかけで激昂し暴力を振るったり、信仰や思想に対しての理解をせず不当な扱いをしたり、といったケースもあります。

加害者自身が、自分の発言や行動が問題であると気づいていない事も多く、事態が長引くと被害者は苦痛を受け続け、精神疾患など患うことも。企業全体として深刻なダメージを受ける可能性があるのです。

2.こんな時はパワハラになる?ならない?

では、どのような場合にパワハラと認められるのでしょうか。実際に訴訟へと至り、訴えが認められたケースをご紹介します。

C会社に勤務することになったAさんは、自分のあまり得意ではない業務の担当になり、その事が原因でミスを重ね、同僚との折り合いも悪くなっていきました。さらにミーティング時に複数の上司から過度の叱責や人格を否定されるような発言を受け、通常業務時にも厳しい指導を受けるようになっていました。この間、同僚との関係も改善されないまま、Aさんは次第に体調を崩すようになります。
その結果、うつ病と診断されC会社を退社することとなってしまったAさんは、C会社と上司達の行為が不法であるとし、訴えを起こしました。
裁判所は、C会社と上司に不法行為責任があると認め、債務不履行に基づく損害を賠償する義務を負うと判断しました。

この裁判では、通常であれば必要である部下への指導が行き過ぎてしまったこと、Aさんの能力向上を目的とした研修やサポート等を行わず、ただ叱咤激励するだけだったということが問題となりました。
もっともパワハラと認定されやすいケースと言えます。


もう一つ、原告からパワハラの主張があったものの、定義に基づきパワハラではないとされたケースもご紹介します。

D会社のF支部に勤めるEさんは、やや対人関係に難があるものの、成績は優秀で、上司であるG部長もEさんのことを気にかけ親しくしていました。
ところがEさんは、「F支部でトラブルを起こした際、G部長は脅しのような文言で会社を辞めるように恫喝した。また、私が行った内部告発をG部長がもみ消し、嫌がらせとして他部署への異動を命じた。このようなパワハラから精神疾患になってしまった。」と訴えたのです。
しかしながら、Eさんを評価していたG部長からは脅すような発言は考えられないこと、内部告発についても社内で改善策を検討しており、もみ消しは無かったこと、さらに異動はEさんの対応に苦慮していたF支部の上長への配慮によるものであったことから、Eさんの主張したパワハラは存在しないとし、この訴えは認められませんでした。

この裁判では、Eさんが訴えるような事が本当にあったのかが争点となりました。
社員に対して行った指導や人事異動辞令を、本人の受け取り方次第ではパワハラと捉えられてしまうこともあります。どのような結果になるかを想定して、伝え方や人事の進め方を慎重に行わなくてはなりません。

3.パワハラを防ぐためには・パワハラが発覚したら
○社内でのパワハラが発覚し相談を受けた場合

当事者同士での解決は好ましくありません。問題が解決しないまま被害者が休職退社してしまったり、暴力により最終的に刑事事件になってしまうなど、企業としてもダメージを受ける可能性があります。
パワハラが発覚した場合は、管理部門などが第三者として入り、徹底した事実調査を行い、事実に基づき適切な対応を取ることが重要です。

○自分が被害を受けた場合

もし自分が上記2.のようなパワハラの被害を受けていると感じたら、一人で悩まずに総務部などの管理部門へ、そして社内で相談することができない場合は社外の窓口や法テラス、法律事務所などへ相談してみましょう。
初回無料相談などのサービスもあるので、まずは相談してみることをおすすめします。

4.まとめ

今回は2つのケースを紹介しましたが、他にもたくさんのケースが存在します。
「自分は関係ない」と思っていても、新しく入ってきた社員や人事異動辞令で、それまでの人間関係が変化することもあり、その対応に管理部門、社員ともに苦慮することもあり得ます。

管理部門としてはパワハラが起こらないよう、社員からのヒアリング等を行い、風通しの良い環境を作ることが大切です。
また、自分が被害者・加害者にならないためには、社員同士が積極的にコミュニケーションを取り、意思疎通を図っていくよう努めていくことも重要です。

2021.10.18

商標権の獲得意義について

商標権イメージ2最近は、商標権を取得する企業が年々増加しています。今や商標権を取得するということは、企業によるブランディング戦略の一環として、日常的に行われていることです。
さて、「商標権」とは知的財産権のうち「産業財産権」と呼ばれる権利の1つです。
企業は、自社の商品やサービスを他社のものと区別しやすくするためにマークをつけたりネーミングしたりしています。このマークやネーミングを「商標」といい、消費者が商品やサービスを選んでいく基準となり、ブランドイメージをつけていく重要な役割を担っています。このような自社商品やサービスについて、マークやネーミングを付け、それらを自社のものとして利用するために設けられているのが商標権になります。

® このマークが、その商標は商標権を持っているという目印になります。
自社のマークやネーミングを財産として守るためにあるのが「商標権」なのです。
今回はこの商標権を獲得することにどのような意義があるのかをお話ししていきます。

1.知的財産権とは

はじめに商標権は知的財産権のうちの1つだと述べましたが、ここで知的財産権について説明します。
人間の知的活動によって生み出されたアイディアや創造物には、財産的な価値をもつものがあり、それらを「知的財産」と呼びます。この知的財産を一定期間独占するための権利が知的財産権で、さまざまな法律によって保護されています。
知的財産権は技術などに関する産業財産権と、文学などに関する著作権等に分けられますが、商標権は産業財産権に分類されています。
特許権、実用新案権、意匠権、そして商標権の4つが産業財産権に含まれます。
特許庁によると、

商標権イメージ3

 

と定められています。いずれも、特許庁に審査されていますが、保護する対象が何かによって獲得する権利は異なり、その保護期間も変わってきます。

2.商標権の目的と機能

次は商標権を獲得する目的と、その機能について詳しくお話したいと思います。商標権は商標法に基づいて制定されていますので、まずは商標法制定の目的を見ていきましょう。
商標法第一条ではこう記されています。

(目的)この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。

ここで、具体例を交えて説明していきたいと思います。
もしも、商標権というものが存在していなければ、世の中に同じ名前の商品がありふれてしまっているかもしれません。

商標権イメージ例えば、A社からボールペンAという商品が発売され、書きやすいと評判になりロングセラー商品になっていたとします。その人気に便乗し、他社からもよく似たデザインのボールペンAという名前の商品が販売されたとします。すると、消費者はたくさんあるボールペンAを区別するのが難しくなり、A社以外のボールペンAを購入するようになるかもしれません。
そうなることで、A社の売り上げが下がる、「品質が違う」といったクレームという実害が考えられます。
こうした事態(あくまで一例ではありますが)が起こらないよう、元祖ボールペンAを生み出したA社の信用を維持し、さらに産業の発達に寄与、需要者の利益を保護することが商標法制定の目的なのです。

3.商標登録をしていなかったら

商標登録をするには、費用がかかります。だからといって商売をするときに商標登録をしなかったらどんな事が起こり得るのでしょうか。

例えば、X社が10年前から「Xウサギ」というキャラクターを会社の広告キャラクターとして発案し、使用していたとします。そのキャラクターがテレビ番組で紹介されたことを機に人気沸騰し、同社から発売されているキャラクター関連商品の売り上げが5倍に上がったとします。
そんな中、一通の内容証明が届くのです。
内容は、「『Xウサギ』は『Y社』が商標登録をしているので商標権の侵害にあたる。ただちにキャラクターの使用、関連商品の販売の中止を求める、、損害賠償を請求する」というものだったのです。
10年前からXウサギを使用してきたX社としてはとても理不尽極まりない出来事でしょう。
しかしここで重要なのは、「X社」がXウサギを先に考え使用していた(=商標を使っていた)ことなのではなく、「Y社」がXウサギの商標権を取得していることなのです。
知らない間にX社はY社の商標権を侵害していたことになるのです。

このように、商標登録は早い者勝ちと言えるのです。「いつまでに」という期限やきまりはないので、この商標でやっていくという事が決まれば、「できるだけ早く」商標登録をすることをお勧めします。(商標登録完了までに、半年から1年間かかるのです。)

4.まとめ

商標権は自社のサービスを区別化、ブランドイメージをつけていくために大切な権利です。特許庁が認めたということで社会の信用にもつながり、更なる事業の成長にも繋がるでしょう。
しかし知名度が上がったり、人気が出たりしてから商標登録をするのでは遅い場合もあります。「早い者勝ち」であることを念頭に置きましょう。
また、反対に自分が商標権を侵していないか、という事も考えなければなりません。あらかじめ商標調査をし、商標を決めるのが良いでしょう。

2020.05.18

M&Aのためのデューデリジェンス

1.デューデリジェンスとは?

そもそもデューデリジェンス(DDと略すことも多いため、以下「DD」といいます。)とは何なのでしょうか?
M&A(Mergers and Acquisitions)取引(企業買収・企業再編等)においてのDDの定義は、「M&A取引によって影響を受ける当事者(主に対象会社の買い手)が、その意思決定に影響を及ぼす対象会社の種々の問題点を調査すること」であるとされています。

例えば、私たちもスーパーでりんごを買うときには、「大きさ」や「傷んでいないか」など品質のチェックをしますよね。
それと同様に、会社を買い取る際にも、品質チェックが行われています。
この品質チェックこそがM&A取引におけるDDであるというわけです。

2.デューデリジェンスは何のためにあるの?

では、DDの意義とは何なのでしょうか?
何のためにDDを実施するかというと、それはまさにそのM&A取引を実施するか否かの意思決定を行うためであり、また、M&A取引を実施する場合における、買取価格を含む買取条件をどう設定するかを検討するためです。

また、上記1のとおり、DDはM&A取引に関する意思決定に影響を及ぼす事項の調査ですので、M&A取引の意思決定に必要な情報収集を行う必要があります。
私たちがスーパーでりんごを購入する際も、大きさなどは確認しますが、どの店員さんが陳列したかということが購入の意思決定に反映されることはありません。
ですから、どの店員さんが陳列したか、もとい、購入の意思決定に資さない情報は集める必要がないわけです。

M&A取引におけるDDを意味あるものにするためにも、どのような戦略で、何を実現するために、対象会社の何を入手したいかを明確にしたうえでM&A取引を実行に移しましょう!

2020.04.26

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う納税の猶予

新型コロナウイルス感染症の影響で資金繰りが苦しく、納税の余裕がない…という事業者の方が、今年は多いのではないでしょうか?
国税を一時に納めることが困難な場合、税務署に申請していただくことにより、原則1年間の納付の猶予を受けることが出来ます。
今回は、国税の納税の猶予制度についてご説明致します。

1.納税の猶予の要件

納税猶予の条件は、次の要件の全てに該当する必要があります。

【要件】
・猶予を受ける国税以外の税金の滞納がないこと
・納付すべき国税の全額を一時に納付することで、事業もしくは生活の維持が困難になる場合
・納付すべき国税の納期限から6ヶ月以内に申請書を提出していること

2.猶予を受けられる国税

では、どのような税目について猶予を受けることができるのでしょうか。実は、ほとんどの税目が対象となります。
例えば、地方消費税・地方譲与税は一旦、国に納める税金ですので、猶予の対象となります。また、中間申告・修正申告分も猶予の適用を受けることが出来ます。
但し、印紙税・外国貨物を保税地域から引き取る場合の消費税・出国する際に直接納付する方式の国際観光旅客税は対象外となります。
なお、令和元年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の確定申告は、延長された期限(令和2年4月16日)が納期限でしたのでご注意下さい。

3.納税猶予の申請手続き

国税納税の猶予を受けるためには、まず、各国税局設置の相談窓口へご連絡ください。

(国税庁猶予相談センターのご案内)
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan/callcenter/index.htm

その後、申請書と添付書類を税務署に提出していただき、税務署の審査の後、猶予の適用という流れになります。

4.猶予期間中の支払い、延滞税について

猶予の適用を受けた場合、納税者は猶予許可通知書に記載された分割納付金額をそれぞれの分割納付の期限までに納付をする必要があります。
また、延滞税については、納期限を遅滞した場合、令和2年では原則として納期限から最初の2ヶ月は年利2.6%、2ヶ月以降は8.9%の延滞税が発生します。猶予期間中、延滞税は軽減されます。しかし、猶予期間中の延滞税は年利1.6%まで軽減されます。
また、消毒により財産の損失があった場合や本人または家族が罹患するなど、状況によっては延滞税が全額免除される場合もあります。

5.まとめ

今回は、国税の納付の猶予制度について説明致しました。
なお、本記事は、令和2年4月25日現在の法令に基づき作成しておりますので、予めご了承ください。

2019.11.28

自社キャラクターのオリジナルグッズ製作費は経費になる?

自社のキャラクター、着ぐるみを制作し、次はオリジナルグッズを作ることが決定しました。取引先、お客様などに会社の名前が入ったボールペンやタオルを配る目的です。

では、オリジナルグッズの製作費は「経費」にすることができるのでしょうか。

この場合は、「広告宣伝費」として「経費」にすることが可能です。ただ、あくまでオリジナルグッズを作る目的は宣伝です。

そのため、グッズには会社名が入っていることが必須となります。社名を入れてしまうと、なかなか使ってくれない、といった場合には会社名ではなく、会社のホームページアドレスを入れることも可能です。

宣伝目的で作っているものになるため、宣伝要素が何も入っていないとなると「広告宣伝費」ではなく「接待交際費」と判断されかねませんので、気を付けてください。

上記では、オリジナルグッズについてお話しましたが、図書カードだった場合はどうでしょうか。

この場合も、「広告宣伝費」として「経費」にすることが可能です。ただし、条件として「限定された人だけでなく、不特定多数の人に配るものであること」「1枚あたりの単価が1000円以内であること」「現金と同等の役割を果たすものではないこと」を満たさなければなりません。

「広告宣伝費」にするためには、会社名や会社のホームページアドレスの記載、限定された人だけに配らない等の条件を満たす必要がありますが、条件を満たせば経費とすることができますので是非活用してみてください。


  • 個人事業主の方や中小企業経営者の方で、労務や税務関係についてお悩みの方、KOMODA LAW OFFICEでは社労士法人・税理士法人も有しておりますので、確かなノウハウで事業者に合わせたご提案をいたします。ぜひ092-433-8711までお問い合わせください。

2019.11.27

自社キャラクターの着ぐるみ製作費は経費になる?

自社のキャラクターを制作したあと、そのキャラクターの着ぐるみを制作しました。

キャラクターを制作した場合は、時間をかけて毎年少しずつ経費として処理をしていく、「減価償却」の方法をとっていました。着ぐるみの場合も同じ方法をとるのでしょうか。

着ぐるみは、制作するとそれを着てイベントに出演したり、どこかで広告を配ったりと、多くの人と触れ合う機会がほとんどです。時には、キックされたり、雨で汚れてしまったりすることもあります。

これらを踏まえると、キャラクターのように5年間かけて「減価償却」することが難しい可能性もあります。では一体、どのようにして経費にするのでしょうか。

着ぐるみの場合、使用することのできる期間が1年未満であれば、着ぐるみを作ったときにその費用をすべて「経費」にすることができます。ただし、大きなダメージを受けない限り1年以上は使用できるはずです。したがって、着ぐるみもキャラクターを制作した場合と同様に、「減価償却資産」として、減価償却していくことになります。

では、着ぐるみの法定耐用年数はどのようになるのでしょうか。着ぐるみの場合は、耐用年数省令別表一に挙げられている項目に該当していませんので、「その他のもの」と考え、期間は5年間と考えられることが一般的です。


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2019.11.26

自社キャラクター製作費は経費になる?

  • ある会社では、自社のオリジナルキャラクターを製作しています。この場合、このキャラクター制作にかかった費用は「経費」にすることができるのでしょうか。
  • 私たちの周りには、たくさんのキャラクターが存在していて、それによる宣伝効果というのはとても大きなものです。また、キャラクターは作ったときのみではなく、何年、何十年・・・と宣伝効果が継続していきます。
  • そのため、制作にかかったときの費用のみを経費にするのではなく、一度「資産」に計上してそこから毎年、時間をかけて少しずつ経費にしていくことが原則となっています。
  • これを「減価償却」といいます。
  •  
  • 先ほど、キャラクターは何年、何十年と宣伝効果が続いていくとお話しましたが、きっちり何年続くか、というのは誰にも分かりません。ですので、基準となる年数が定められています。
  • ○キャラクターの商標登録を行ったとき  ・・・・ 10年
    ○キャラクターの商標登録を行わなかったとき・・・・ 5年
  • 10年とは、商標登録の有効期限のこと、5年とは、通常の減価償却と同じ期間です。  
  • 上記のことは、会社やブランドのロゴなどを制作したときと同一の考え方になりますので、ロゴを制作するとなった場合にも参考にしてみてください。

  • 個人事業主の方や中小企業経営者の方で、労務や税務関係についてお悩みの方、KOMODA LAW OFFICEでは社労士法人・税理士法人も有しておりますので、確かなノウハウで事業者に合わせたご提案をいたします。ぜひ092-433-8711までお問い合わせください。

2019.09.02

会社員が起業するときに注意すること③個人事業と法人の違い

「起業したい!」と考えているものの、「個人事業と法人の違いが分からない…」「個人事業と法人のどちらにしたらいいの?」という方もいらっしゃるかと思います。そこで、今回は個人事業と法人の違いについてご説明いたします。

個人事業 法人
設立費用 税務署に届出をするだけで開業でき、費用はかからない ・資本金
・設立費用(株式会社を設立する場合、登録免許税や定款の認証手数料等、最低でも25万円ほど) が必要
社会保険 従業員が5人未満であれば加入しなくてもよい 社長1人でも加入する必要がある
⇒社会保険料を負担しなければならない
税金 ・所得税
・1年間に290万円超の所得がある場合は個人事業税
⇒利益が大きくなれば、法人よりも税金が高くなる
・国税
・県税
・市税
決算期 12月31日 好きな時期に設定できる
確定申告 3月15日まで 決算日から2か月後
会計処理 法人と比較すると容易 煩雑
⇒場合によっては税理士に依頼する必要があるため、費用がかかる
赤字 1年間の収支が赤字であれば、所得税がかからない
繰越欠損:青色申告なら3年間
1年間の収支が赤字の場合、法人住民税の均等割がかかる
繰越欠損:9年間(平成30年度4月1日以後開始事業年度 10年間)
信用度 法人と比較すると低い
⇒融資を受けるのが難しい
個人事業と比較すると高い

両者ともメリット・デメリットがあるので、どちらにすべきというものはありません。この記事を参考にしていただき、自分には個人事業と法人のどちらが合っているかを検討していただけたらと思います。


起業をお考えの方や労務関係でお悩みの経営者の方はKOMODA LAW OFFICE(菰田総合法律事務所)へご相談ください。
博多・那珂川に各オフィスがあるので、お住まいや職場に近いオフィスで相談可能です。
福岡県内(福岡市、那珂川市、大野城市、糸島市…)、佐賀県など九州各県の方もお気軽に0120-755-687までお問い合わせください。

2019.08.31

会社員が起業するときに注意すること②会社は辞めずに副業として起業する

前回の記事では、会社を辞めて起業する場合の注意点についてお話しました。今回の記事では、会社は辞めずに副業として起業する場合の注意点をご説明します。

②会社は辞めずに副業として起業するときの注意点

・副業が禁止されていないかを確認する

会社を辞めずに起業する場合、法的には問題ありませんが、会社が副業禁止規定を定めている可能性があります。就業規則などの規程を確認しましょう。

ただし、副業禁止規定の有無にかかわらず、事前に副業をしたいと考えていることを会社に相談しておいたほうが、後々のトラブルを防ぐことができます。

・会社に副業をしていることがばれてしまう可能性がある

「副業は禁止されていなかったけれど、会社に知られるのはなんとなく嫌だから黙っておこう」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?実は、確定申告(毎年1月1日から12月31日までの間に生じた全ての所得と、その所得にかかる所得税を計算して、過不足税額を精算する手続きのこと)の仕方によっては、会社に副業がばれてしまうことがあります。

基本的に、従業員の住民税は、毎月5月頃に会社宛に送られてくる「特別徴収税額決定通知書」に記載された税額に基づいて、会社が毎月の給与から差し引き、代わりに市町村に納付します(特別徴収)。
この税額は確定申告で報告した収入に基づいて決定されるのですが、確定申告で会社から支給される給与と副業で得た収入を合算して報告してしまうと、通知書が届き住民税額を知った会社が、支給した給与よりも収入が多いことに気づき、副業がばれてしまう可能性があるのです。

そこで、確定申告をするときに、副業の収入について給与から差し引かず、自分で納付する「普通徴収」を選択することで、別途自分で納付する方法をとることができるため、会社にばれる可能性が低くなります。


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