Komoda Law Office News

2019.07.02

賃金支払いの5原則とは

皆さんは「賃金支払いの5原則」をご存知でしょうか。
使用者は、労働者に賃金を支払う際に、以下の5つの原則に従う必要があります。以下が、「賃金支払いの5原則」の具体的な内容です。

①通貨払いの原則
②直接払いの原則
③全額払いの原則
④毎月1回以上払いの原則
⑤一定期日払いの原則

上に記載した5つの原則は、労働基準法第24条に定められており、使用者がこれに違反した場合は、30万円以下の罰金に処せられることになります。この場合、労働者は原則に沿った賃金支払いを求めることができます。
では、以下に「賃金支払いの5原則」の各原則について、詳しく説明していくことにします。

➀通貨払いの原則
通貨払いの原則とは、賃金は必ず通貨(国内で通用する貨幣)で支払わないといけない、という原則です。したがって、外国通貨や小切手は通貨と認められませんし、ましてや現物支給も禁止されます。
ただし、現物支給及び預貯金口座への振込みについては、労使協定を締結し、労働者個人の同意を得た限りで、通貨払いの原則の例外として認められます。

②直接払いの原則
直接払いの原則とは、賃金は労務に携わった労働者本人に支払わなくてはならない、という原則です。したがって、代理人に賃金を支払うことは原則として認められません。また、未成年の場合も同様に、親権を持つ者や代理人が賃金を代わりに受ける行為は認められません。
ただし、労働者自身が何らかの理由で会社を休み動くことができず、賃金を受けることが不可能な状況下にある場合は、家族などがその「使者」として賃金を受けることが例外として認められています。

③全額払いの原則
全額払いの原則とは、賃金期間に応じた形で、その「全額」を支払わなければならない、という原則です。賃金の一部を無断で差し引いたり、会社の立替金を勝手に相殺したりすることはできません。ただし、社会保険料や源泉所得税、住民税など、法律で認められているものについては、賃金から控除することが認められています。また、労使協約の定めがあれば、組合費等を賃金から控除することも、例外として認められます。

④毎月1回以上払いの原則
「毎月1回以上払いの原則」とは、歴日数の1日から月末までの間に、必ず1回以上は賃金の支払いを行わなければならない、という原則です。したがって、年俸制を採用していても、年棒制で定められた賃金を按分したうえで、毎月1回は支払わなければいけませんので、気を付けましょう。一方で臨時に支払われる賃金(例えば、結婚手当金等)・賞与等は、例外的にこの原則を遵守しなくてもよいとされています。
なお、新入社員の場合、給料が入るのが1か月以上先という企業が多々あります。例えば新入社員が末締め翌月10日払いの会社に4月1日に入社し、4月勤務分が5月10日に支給されるような場合、この原則に違反していることになるのでしょうか。この場合は、毎月1回以上払いの原則に違反していないと考えるのが通説になっています。なぜなら、入社月に賃金債権自体が発生していないと考えられるためです。

⑤一定期日払いの原則
「一定期日払いの原則」とは、使用者は一定の期日を設定した上で賃金の支払いを行わなければならない、という原則です。賃金の支払日が毎月変動すると労働者の生活自体が不安定になるため、この原則が定められています。一定期日の定め方については、特定できれば差し支えありませんが、「毎月第〇・〇曜日」とするという定め方では、月により支払日が異なり、期日が特定できないため認められません。したがって、「毎月15日」「月末」といった定め方が必要です。
 なお、前述の毎月1回以上払いの原則と同じく、臨時に支払われる賃金・賞与等が例外として認められています。また、「非常時払い」を行う場合も、一定期日払いの原則の例外として認められています。

以上のとおり、賃金を労働者に支払う場合には、以上の5つの原則を遵守する必要があります。使用者においては、賃金支払いの5原則を十分に理解し、賃金支払い上のトラブルが生じないように注意しましょう。

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2019.07.01

無期雇用転換のメリット

企業にとって従業員を有期契約から無期雇用へ転換するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
まず、新人採用と比較して、既に会社の実務を理解した経験のある社員を手放さずに済む事が挙げられます。労働契約における期間の定めが無くなることで、中長期的に社員の育成が可能となるため、新規社員の採用コストや育成コストを削減することが可能になります。

次に、有期雇用の従業員を正社員や無期雇用に転換を行った場合に、一定の受給要件を満たすことで、政府からキャリアアップ助成金を受給することが可能になります。
キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者(いわゆる契約社員等)、短時間労働者(いわゆるパートタイマー)、派遣労働者(いわゆる派遣社員等)といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップなどを促進するため、正社員化、人材育成、処遇改善などの取組を実施した事業主に対して助成する制度です。

従業員の雇用を見直す時には、助成金の受給も視野に入れて検討すると良いでしょう。助成金の申請を検討する際、社員の雇用形態の現状を正確に把握しておくと、助成金の申請計画が立てやすくなります。
助成金を申請するためには、細かな要件が定められており、これを満たしていない場合には、受給申請ができなくなりますので、注意が必要です。

以上のように、無期雇用転換によって企業が受けるメリットは種々あります。もっとも、企業が無期雇用転換のメリットを受けるためには、前提として雇用形態に合わせた就業規則を整備し、業務内容や待遇面の範囲について明確に定めることが必要になります。
弁護士や社労士などの専門家にも相談しながら、「無期転換ルール」に対応した労務環境作りを行いましょう。

 

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2019.06.28

無期転換雇用に潜むリスク

前回ご説明した通り、特段の合意がなされていない限り、有期雇用から無期雇用への雇用形態の変更により、自動的に労働時間、賃金、その他の労働条件が正社員と同一の労働条件に変更はされる訳ではありません(労働契約法第18条1項)。

しかしながら、「無期転換ルール」導入後も、就業規則の適用対象者の定め方いかんによっては、使用者としては、雇用期間以外の労働条件は有期雇用労働者と変わらないと考えているにもかかわらず、無期転換労働者に正社員の就業規則が適用されてしまうケースもあります。そのため、企業においては、就業規則の整備が必要不可欠となります。

例えば、就業規則において、正社員の定義規定で、期間の定めのない労働契約を締結している労働者を正社員とする旨が定められているならば、無期転換労働者にも、正社員の就業規則が適用されることになります。無期転換労働者全員が正社員と同一の労働条件となった場合、人件費等の大幅な増大に繋がり、経営を圧迫する要因となります。

また、無期転換労働者の労働条件を従前の有期雇用の条件と同一にし、有期雇用者の就業規則を適用しようとしても、有期雇用労働者の就業規則の場合、「定年」や「休職制度」等の定めがなく、服務規律や懲戒・解雇に関する規定が不十分である等の問題があります。

そのため、無期転換雇用者の労働条件と従前と同一にする場合でも、有期雇用労働者の就業規則をベースとしながら、必要な修正を行い無期転換労働者に適用される就業規則を整備する必要があります。企業としては、一度、就業規則をきちんと確認をした方が良いでしょう。

また、企業側のリスクとして「解雇」にかかる問題が挙げられます。有期雇用の場合は契約期間が明確に定められており、経営状況に合わせて契約更新を判断し、場合によっては雇止めを行う等して、雇用人数を調整していました。

しかしながら、無期雇用形態の労働者の場合、解雇を行うにあたっては、労働契約法第16条に基づく厳格な解雇規制が適用されます。そのため、経営状況に合わせた雇用人数や人件費の調整を行うのが難しくなっています。

 

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2019.06.27

有期契約雇用と無期契約雇用の違い

平成25年4月1日に施行された労働契約法の改正において、いわゆる「無期転換ルール」が定められました。無期転換ルールとは「有期雇用されている期間が5年を超える場合は、労働者は無期雇用に切り替えを求めることができる(労働契約法第18条1項)」というルールです。対象者は、有期契約社員やアルバイトなどの有期雇用労働者です。

企業は対象者から、無期雇用転換の労働契約の申込みがあった場合には、対象者からの申し入れを拒否することが出来ないようになっています。そして、同条は平成25年4月1日以降締結された有期雇用労働契約に適用されます。

有期雇用と無期雇用の違いは、「雇用期間に定めがある雇用」か「雇用期間に定めが無い雇用」か、という点です。ここで、企業が理解しておかなければならない点は、「無期雇用に転換になる=正社員」ではないという事です。

雇用の形態が無期雇用に変更されたとしても、個別の合意、就業規則、労働協約等の特段の合意がなされていない限り、契約期間の定め以外の労働時間、賃金、その他の労働条件は有期雇用時と同一のものになります。
要するに、「無期転換ルール」とは、あくまで雇用期間の変更に過ぎないのであって、その他の労働条件が自動的に正社員と同一になるわけではないので、ご注意ください。

 

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2019.06.24

【社会保険】従業員の保険料控除と事業主の納付

①被保険者(従業員)からの保険料控除
資格取得日(被保険者となる日のことをいいます。)が含まれる賃金計算期間から、社会保険料の控除を開始します。
控除する保険料額は、標準報酬月額決定通知書の記載を元に保険料額表の「折半額」で確認できます。
例:4月分を5月支給の場合、5月支給分の給料より4月分の社会保険料を控除することになります。

②事業主の納付
ア)納付金額
事業主は、被保険者から徴収した社会保険料に事業主負担分を合わせて納付します。
保険料は、保険料額表の「全額」部分、もしくは、単純に従業員の社会保険料を2倍すると確認できます。

イ)納付方法
新規適用日の翌月末日が第1回納付日です。
例1:4月1日新規適用日の場合は、5月末日が第一回納付日となります。
例2:8月勤務分の給与を9月支給する場合は、9月で支給した給与から控除した8月分の保険料に事業主負担分を加算した額を、9月末に納付することになります。

※納付日が近づきましたら、納付用紙が届きます。口座振替をご希望でしたら、『口座振替申請書』の提出により2~3か月で口座振替となりますが、それまでは、納付書での納付となります。

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2019.06.23

【社会保険】事業所の加入の手続き

各必要書類申請書等の記入例はこちらから確認することができます。(外部サイトへジャンプします。)
※1 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/kenpo-todoke/jigyosho/20141205.files/20160928.pdf

※2 被保険者資格取得届
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/kenpo-todoke/hihokensha/20140718.files/0000002415r.pdf

※3 任意適用申請書
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/kenpo-todoke/jigyosho/20140430.files/0000002397r.pdf

 

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2019.06.22

【社会保険】事業所の加入

社会保険に加入出来る事業所のことを、『適用事業所』といいます。
適用事業所には『強制適用事業所』と『任意適用事業所』があります。以下に説明します。

①強制適用事業所とは
次の要件に該当する事業所は、必ず加入しなければならず、このような事業所を強制適用事業所といいます。
ア)常時1名以上の従業員を使用する法人の事業所
イ)常時5人以上の従業員を使用する適用業種の個人事業所

<適用業種>
下記に記載する非適用業種以外の業種のことをいいます。

<非適用業種>
農林水産畜産業、飲食店、理容、ホテル・旅館、料理店、映画館、その他娯楽、法務業(士業)宗教業などの業種をいいます。 

②任意適用事業所とは
強制適用事業所以外の事業所の中で、社会保険の適用を受けたい場合に、申請により適用事業所になれる事業所をいいます。
※なお、任意適用事業所となるためには、被保険者となるべき者の2分の1以上の同意が必要です。

また、社会保険の加入は会社単位ではなく事業所単位で行う必要があるため、本店のみではなく、営業所が複数ある場合は、それぞれの営業所ごとに加入する必要があります。
しかし、報酬の支払いや指揮監督などが本社で行われており、事業所としての独立性が認められない場合は、本社のみでよく、本社の社会保険に加入することになります。

 

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2019.06.18

マイナンバー情報漏えいのリスク

前回述べたとおり、マイナンバーに関連する情報が漏えいした場合、事業者には①刑事罰の適用(番号法違反)及び②民事上の損害賠償請求のリスクがあります。
まず、①刑事罰の適用(番号法違反)についてです。重大事案であればもちろん別ですが、すぐに罰則を適用するわけではなく、事前に指導や助言、勧告等が行われるのが通常です。労働基準監督署による是正勧告等と同様のイメージだと言えば分かりやすいかもしれません。
次に、②の民事上の損害賠償請求についてです。マイナンバーやそれを含む個人情報が漏えいした場合、事業者は被害者に対しての賠償を考えなければなりません。

過去の情報漏えいの事故をひも解いてみると、2004年のYahoo!BB顧客情報漏えい事件や、2014年のベネッセ個人情報流出事件において、事業者側は被害者に対して500円の金券を支払っています。このような例から、事業者において、マイナンバーの流出の場合も、被害者1人当たり500円支払えば済むといった誤った認識が広がりました。

しかしながら、500円の金券は見舞金の支払いとなるにすぎず、その額が損害賠償額になるわけではありません。ベネッセ個人情報流出事件の例では、その後、1人当たりの損害額55,000円の支払いをめぐって集団訴訟が提起されました。他の情報漏えいに関する裁判例でも、事業者が被害者に対して、1人当たり数万円以上の支払いを命じられています。

情報漏えいは、外部からの不正アクセスによって引き起こされるケースを想定しがちです。ところが実際には、電子メールの誤送信等の、電子機器の誤操作に端を発するケースや、紙媒体の紛失といった、いわゆる人為的ミスによって起こるケースが一般的と言えます。
したがって、いくら精巧なセキュリティ体制に守られた情報システムを配備したとしても、従業員の誤操作等によって情報漏えい事故が起こるリスクは依然として伴います。

以上のことから、マイナンバーの安全管理対策については、技術面に頼り切ることはできず、事業者としては、従業員に情報管理の教育を徹底するなどの対策も講じる必要があります。

 

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2019.06.17

マイナンバーの情報漏えい

2016年1月マイナンバー制度の開始により、事業者は厳格な安全管理体制のもとでマイナンバーに関連する情報を扱うことが義務付けられました。
しかし、情報漏えいのリスクをゼロにすることは困難です。もしも、マイナンバーに関連する情報が漏えいした場合、事業者は以下のようなリスクを抱えることになります。

①刑事罰の適用
マイナンバー制度では、「罰則が行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下、「番号法」といいます。)によって設けられており、番号法違反として罰則の適用を受けることがあります。

②民事上の損害賠償請求
事業者が適切な安全管理措置を講じていなかった場合は、情報漏えいにかかる番号の対象者等から損害賠償を請求されるリスクが生じます。
尚、事業者が、民法上の責任を免れるには、以下について事業者側に立証責任があります。

・マイナンバーの管理につき、相当な注意を払っていたこと
・相当な注意を払っていたとしても、損害が生じたであろうこと

情報漏えい事故でこうしたことを立証するのは非常に困難です。そのため事業者が適切な安全管理措置を講じることが肝要だと言えます。個人情報保護委員会による「特定個人情報の適切な取り扱いに関するガイドライン」で要請されている、事業者が講じなければならない安全管理措置のうちの「技術的安全管理措置」は、とりわけ重要な措置であることが分かります。

③社会的信用の失墜
大企業や知名度のある事業者で情報漏えい事故が起これば、マスメディアに大きく取り上げられ、社会的信用に関わることもあります。特に上場企業は株価下落の要因にもなるため、非上場企業以上に安全管理の徹底が求められます。
実際に、過去に情報漏えい事故の起こった事業者のその後を見ても、顧客離れの加速や、内定辞退が相次ぐ等、経営に直結する問題が生じています。

マイナンバーに関連する情報が漏えいした場合の①~③のリスクのうち、③社会的信用の失墜に関しては想像に難くありません。そこで、次回は、①刑事罰等の罰則と②民事上の損害賠償責任について、もう一歩踏み込んでお話しをしたいと思います。

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2019.06.04

時間外・休日労働をさせるために必要な手続き

1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えて労働させると、労働基準法の時間外労働となります。また、毎週少なくとも1日あるいは4週を通じて4日以上与えなければならない法定休日に労働させると、労働基準法の休日労働となります。

従業員に時間外・休日労働をさせる場合は、必ず以下の手続きをします。

①就業規則等において、時間外・休日労働をさせることがある旨の規定を置く
⇒就業規則を作成していない場合は、雇用契約書に記載しましょう。

②時間外・休日労働に関する協定(36協定)の締結と届出
⇒事前に従業員を代表する者と36協定を締結し、労働基準監督署に届出をしなければなりません。36協定は届出をして初めて有効となります。ですので、締結したものの届出を行わないまま時間外・休日労働をさせることは違法です。

③割増賃金の支払い
⇒時間外労働をさせた場合は25%以上、休日労働をさせた場合は35%以上の割増賃金を支払う必要があります。さらに、深夜(午後10時~午前5時)に労働をさせた場合は、25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。例えば、時間外労働をしていて午後10時を過ぎてしまった場合は、時間外労働の割増率(25%以上)に深夜労働の割増率(25%以上)を合算する必要があります。なお、大企業の場合、法定時間外労働が月60時間を超える場合は、50%以上の割増賃金を支払う必要がありますので、注意が必要です。また、中小企業は、令和5年4月1日から大企業と同様の規制を受けることになります。

ただし、長時間労働は従業員の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。経営者としては、業務の効率化を図ったり、業務量を調整したりして、従業員の時間外・休日労働を必要最小限に抑えられるようにしましょう。

 

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