Komoda Law Office News

2022.02.25

『同一労働同一賃金』とは?①

法律に関するコラムをKOMODA LAW OFFICEの弁護士が執筆します

 

はじめに

「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(以下、「パート・有期雇用労働法」といいます。)が2020年4月に施行され、いわゆる「同一労働同一賃金」がスタートしました。
中小企業については2021年4月から施行されましたので、全企業を対象に同制度がスタートしてもうすぐ1年になります。

最高裁判所も同制度施行前の労働契約法旧第20条に関する関する判断を相次いで示し、ニュースで取り上げられる等して注目が集まりました。
もっとも、「同一労働同一賃金という言葉は聞くし、対応が必要とは分かっているが結局よく分からずに対応できていない」といった事業者様も多いのではないでしょうか。 

そこで、今回から複数回にわたって「同一労働同一賃金」制度についてご説明させて頂きます。

1.同一労働同一賃金の概要

「同一労働同一賃金」とは、厚生労働省によれば「同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消をめざすもの」とされています。
したがって、会社内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者に基本給等の労働条件に待遇差が存在する場合、その待遇差が「不合理」な待遇差であるか「合理的」な待遇差であるかを検討・判断する必要があります。
2020年4月施工『同一労働同一賃金』とは?①

2.パート・有期雇用労働法(均等待遇・均衡待遇)について

この点について、パート・有期雇用労働法第8条では、以下のとおり、短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与等の待遇について、通常の労働者との間で不合理な待遇差を設けてはならないことを定めています。

パート・有期雇用労働法
第8条
事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

更に、同法第9条では、以下のとおり通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者について、基本給、賞与等の待遇について、差別的取扱いをしてはならないことを定めています。

パート・有期雇用労働法
第9条
事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。

このように、パート・有期雇用労働法第8条では「均衡待遇」を、同法第9条では「均等待遇」を定めています。

「均衡待遇」とは、簡単に申し上げると「前提事情が異なる場合にはその違いに応じた取扱いをすべき」というものです。
例えば、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の業務内容や責任の範囲が異なるのであれば、それの違いに応じて基本給等を支給する必要があります。

これに対し「均等待遇」とは、「前提事情が同一の場合には同じ扱いをすべき」というものです。
そのため、例えば職務の内容や責任の程度、配置転換の範囲等が正規雇用労働者と非正規雇用労働者と全く同一そのためあれば、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の賃金等の条件が同一である必要があります。

3.同一労働同一賃金ガイドライン

同一労働同一賃金の概要は以上のとおりですが、実際に正規雇用労働者と非正規雇用労働者に生じている待遇差について、どのような場合に不合理な待遇差となるのでしょうか。
この点、厚生労働省は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間に待遇差が存在する場合の原則的な考え方を「同一労働同一賃金ガイドライン」で示しています。

同ガイドラインでは、典型的な事例として考えられるものについては「問題となる場合」と「問題とならない場合」を具体例として挙げています。
同ガイドラインは厚生労働省告示そのため、直ちに法的拘束力を有するものではありませんが、裁判所が判断を示すに際に参考にすることが想定されます。

したがって、パート・有期雇用労働法第8条、第9条の判断の一つの指標として同ガイドラインも参照しながら、法改正に対応していくことが肝要かと思われます。

4.まとめ

今回は、同一労働同一賃金制度の概要についてご説明させて頂きました。
次回からは、同ガイドラインを基に、基本給、その他の労働条件の待遇差について検討していきたいと思います。

弁護士坂本志乃執 筆
KOMODA LAW OFFICE 弁護士
坂本 志乃 SHINO SAKAMOTO
得意分野は労務、企業法務
座右の銘は『努力は人を裏切らない』

 

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