Komoda Law Office News

2022.01.31

管理監督者って何?

法律に関するコラムをKOMODA LAW OFFICEの弁護士が執筆します

はじめに

皆さんは「管理監督者」という言葉をご存知でしょうか。
「管理」という響きから「管理監督者」=「管理職」と思われる方や、他方で「名ばかり管理職」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、「管理監督者」について詳しく説明させて頂きます。

1.管理監督者とは

労働基準法41条第2号では、「監督若しくは管理の地位にある者」については、労働時間、休憩及び休日に関する労働基準法の適用が除外されています。
この「監督若しくは管理の地位にある者」とは、いわゆる「管理監督者」のことを指します。
したがって、「管理監督者」に該当する場合は、労働時間、休息及び休日に関する労働基準法の規制の適用が除外されるため、時間外労働、法定休日労働に対する割増賃金の支払いが不要となります(なお、深夜労働に対する割増賃金の支払いは「管理監督者」に該当する場合でも必要です)。

2.管理監督者の要件

労働基準法上の「管理監督者」に当たる場合、割増賃金の支払いが不要であることは分かりました。
それでは、課長、部長、店長等の会社内で管理職としての地位にある人は「管理監督者」に該当し、割増賃金の支払いが不要になるのでしょうか。

労働基準法の「管理監督者」に該当するかは、職務の内容、権限、責任、勤務態度等の実態に基づいて判断するとされており、名称のみで判断されることはありません。

具体的には、以下の3点を総合考慮して判断することになります。

①重要な職務内容、責任と権限を有していること
②現実の勤怠態様も、労働時間等の規制になじまないものであること
③賃金等について地位にふさわしい待遇であること

各要件を詳しく見ていきますが、まず、①の要件である「重要な職務内容、責任と権限を有していること」とは、労働条件の決定その他の労務管理、会社の経営方針に関して経営者と一体的な立場にあり、裁量と権限を有していることが必要です。
そのため、例えば従業員の採用の人選の権限は有しているが、最終的な決定権限や労働条件の決定権限が付与されていない場合だと、管理監督者性が否定されやすいでしょう。

次に、②については、労働時間について自らの裁量で自由に決定できることが重要になります。
管理監督者であれば、経営上の判断や対応を迫られる場合があるため、労務管理においても一般の従業員とは異なる立場にある必要があると考えられています。
したがって、例えば始業・終業時間が通常の従業員と同一に統一されている場合だと、労働時間に関する裁量が認められないため、管理監督者性が否定されやすいでしょう。

最後に、③については、管理監督者には深夜時間に対する割増賃金以外の割増賃金が支払われないことに見合うだけの相応の待遇がなされている必要があります。
例えば、賃金総額が一般の従業員の賃金総額を同程度以下である場合や、時給単価に換算した賃金額がアルバイト、パート等の時給に満たず、かつ最低賃金にも満たない場合は、労働監督者性が否定される可能性が高いでしょう。

管理監督者

3.名ばかり管理職に注意が必要

以上のとおり、「管理監督者」として認められるためには、経営者と一体的な立場、それに近接する実態が必要となります。
この「管理監督者」に注目が集まったのは、小売業や飲食業等で多店舗展開をしている会社において、正社員である店長等を労働基準法の「管理監督者」として運用していたところ、店長等に会社に対して未払割増賃金請求訴訟を提起したことがきっかけです。
訴訟では店長が「管理監督者」に該当するかが争点になりましたが、店長の具体的な勤務実態から管理監督者性は否定され、「名ばかり管理職」として大きな問題となりました。

管理監督者性の判断はあくまでも個別具体的な判断になりますが、以上を踏まえても安易な運用は避けるべきと思われます。

4.まとめ

今回は、労働基準法の「管理監督者」についてご説明致しました。
管理職と言われる従業員を一律に「管理監督者」として扱っていると、いきなり未払割増賃金の請求を受ける可能性があります。
会社の運用が適切であるか、一度労務管理に強い弁護士にご相談されることをお勧め致します。

 

弁護士坂本志乃執 筆
KOMODA LAW OFFICE 弁護士
坂本 志乃 SHINO SAKAMOTO
得意分野は労務、企業法務
座右の銘は『努力は人を裏切らない』

 

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