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労働基準法施行規則及び雇止め基準の改正による【労働条件明示ルールの改正】について

2024.01.23

「労働基準法施行規則」及び「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(以下「雇止め基準」といいます。)の改正に伴い、2024年4月1日より、労働条件の明示事項が追加されることになりました。今回は、労働条件明示ルールの改正についてお話します。

1.労働条件明示義務とは?

使用者は、労働契約締結時に、労働者に対して労働条件の明示が義務付けられています。なお、労働契約締結時には、契約更新の場合も含みます。
このうち、使用者が必ず書面等で明示しなければならない事項は、①労働契約の期間、②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準、③就業の場所及び従事すべき業務、④始業及び終業の時刻、休憩時間、休日等、⑤賃金、⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む)です。
上記①から⑥以外にも、使用者が会社の制度として設ける場合には、労働条件として労働者に明示する必要があります。

2.改正内容について

今回の改正で明示すべき事項として追加された事項は、以下のとおりです。
以下、それぞれの項目について詳しく説明します。

明示のタイミング 追加の明示事項​
すべての労働者格 労働契約締結時と有期労働契約の更新時​ 就業場所・業務の変更の範囲​
有期契約労働者 有期労働契約の締結時と更新時​ ・更新上限の有無と内容​
​※更新上限を新設、短縮しようとする場合、その理由をあらかじめ説明すること
無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時​ ・無期転換申込機会
・無期転換後の労働条件
(1)就業場所・業務の変更の範囲について

就業場所・業務の変更の範囲の明示は、すべての労働者が対象となります。そして、明示すべき「就業場所・業務の変更の範囲」は、今後の見込みを含め、この労働契約の期間中における就業場所や従事する業務の変更の範囲となります。
例えば、正社員で就業場所・業務ともに限定がない場合だと、就業場所の変更の範囲の記載としては、「会社の定める営業所(テレワークを行う場所を含む)」、「本店及びすべての支店、営業所」といった感じになるでしょうし、業務の変更の範囲の記載としては、「会社の定める業務」、「全ての業務への配置転換あり」といった感じになるでしょう。

(2)更新の上限の有無と内容について

更新の上限の有無と内容の明示は、有期労働契約者が対象となります。また、明示のタイミングは、有期労働契約の締結時と契約更新ごとになります。明示のタイミングにおいて、更新上限の有無と、更新上限がある場合はその内容を明示することになります。
例えば、更新の上限を設けている場合だと、「通算契約期間●年まで」や「更新●回まで」といった感じの記載になるでしょう。
なお、いままで有期労働契約の更新上限を設けていなかった使用者が更新上限を新設する場合、または既にある更新上限を短縮する場合(例:5年から2年に短縮する)は、事前に労働者に対しそれぞれ理由を説明しなければなりませんので、注意が必要です。
テレワークの様子

(3)無期転換申込機会と無期転換後の労働条件について

無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の明示は、無期転換申込権が発生する有期契約労働者が対象となります。
そして、無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、今回の契約期間中において、「無期転換を申し込むことができる」(=無期転換申込機会)こと、及び「無期転換後の労働条件」を書面で明示する必要があります。
なお、無期転換申込権が発生する有期労働契約の際に、労働者が無期転換の申込みをしなかった場合で、有期労働契約を更新する場合は、改めて明示が必要です。
また、無期転換後の労働条件の明示は、各項目で明示するか、無期転換前後での変更があるか、変更がある場合は変更の具体的な内容を明示することで足ります。ですので、例えば無期転換前後で労働条件に変更がない場合は、「無期転換後の労働条件は本契約と同じ」といった記載になるでしょう。

(4)まとめ

各項目について簡単に説明させていただきましたが、具体的な労働条件通知書の記載例は厚労省が公開していますので、ぜひご参照ください。

3.その他労働条件通知書で明示すべきとされた事項について

厚労省が公開しているモデル労働条件通知書では、2で説明した事項に加え、「就業規則を確認できる場所や方法(     )」との項目を追加しています。
これは、冒頭でお伝えした労働基準法施行規則・雇止め基準の改正に伴うものではありませんが、本年10月12日付通達にて、就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等によって、就業規則を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要があることを明らかにしたことに伴い、モデル労働条件通知書に追加されているようです。

 

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