Komoda Law Office News

2021.12.01

残業代の計算にあたって除外可能な賃金は?

法律に関するコラムをKOMODA LAW OFFICEの弁護士が執筆します

皆さんが勤めている会社から支給される賃金に、「住宅手当」、「家族手当」といった項目の手当があるかと思います。
残業代を計算するにあたって、これらの手当は除外されているのでしょうか?
「住宅手当、通勤手当は除外される」と聞いたことのある方もおられるのではないのでしょうか。
今回は、残業代の計算にあたって除外可能な賃金について解説させて頂きます。

1.残業代から除外可能な賃金

残業代を計算するにあたっては、月給制の場合、皆さんに支給されている賃金のうち、労働基準法が明示的に除外を認めた賃金を除いた賃金を、1か月の所定労働時間数で除した金額(「1時間あたりの賃金額」)を算出する必要があります。
このように算出した1時間あたりの賃金額に、残業時間数と割増賃金率(時間外労働の場合は1.25)を乗じて残業代を算出することになります。

そして、労働基準法が明示的に除外を認めた賃金は、以下の7つです(労働基準法第37条5項、同法施行規則第21条)。

⑴家族手当
⑵通勤手当
⑶別居手当
⑷子女教育手当
⑸住宅手当
⑹臨時に支払われた賃金
⑺1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

以上の7つの賃金が除外されているのは、労働と直接的な関係が薄く、労働者の個人的事情に基づいて支給されている等の理由があげられます。

2.住宅手当・家族手当・通勤手当が残業代の基礎に含まれる?

上記1のとおり、労働基準法で除外が明示された賃金に「住宅手当」・「家族手当」・「通勤手当」が含まれていました。そうすると、皆さんがこれらの手当を支給されている場合、残業代の計算で除外されることになるのでしょうか。

実は、必ずしもそうとは限らないのです。というのも、上記1で挙げた賃金のうち、⑴ないし⑸の賃金については、名称が一致していれば全て除外できるという訳ではなく、除外できる賃金の具体的な範囲が通達で定められているのです。

「住宅手当」・「家族手当」・「通勤手当」について、残業代の計算にあたって除外できる具体的な範囲は以下のとおりです。

①住宅手当

住宅に要する費用に応じて算定される手当であること
除外できる 住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給するもの
⇒賃貸住宅に居住の場合は家賃の一定割合、持家に居住の場合は住宅ローン月額の一定割合を支給する
除外できない 住宅の形態ごとに一律に定額で支給するもの
⇒賃貸住宅に居住の場合は月●万円、持家に居住の場合は月●万円を支給する

②家族手当

扶養家族の人数またはこれを基礎とする家族手当額を基準として算定した手当であること
除外できる 扶養家族のある従業員に対し、家族の人数に応じて支給するもの
⇒扶養義務のある家族1人に対し、配偶者月●万円、その他の家族月●千円を支給する
除外できない 扶養家族の有無、家族の人数に関係なく一律に支給するもの
⇒扶養家族の人数に関係なく、家族がいる従業員に対して一律に月●万円を支給する

③通勤手当

通勤距離または通勤に要する実際費用に応じて算定される手当であること
除外できる 通勤に要した費用に応じて支給するもの
⇒6か月定期券の金額に応じた費用を支給する
除外できない 通勤に要した費用や通勤距離に関係なく一律に支給するもの
⇒実際の通勤距離にかかわらず1日●円を支給する

また、例えば「生活手当」という名称で支給されていても、実質的に除外可能な家族手当の範囲に含まれるのであれば、残業代の計算にあたって除外することができます。
皆さんに支給されているこれらの手当が、会社の残業代計算にあたって除外されている場合、本当に除外可能な手当に該当されず、除外されて残業代が計算されている場合だと、「1時間あたり賃金額」が誤っているため必然的に残業代の未払いが発生していると考えられます。

3.まとめ

今回は残業代の計算にあたって除外可能な賃金について解説させて頂きました。
ご自分の支給されている手当を就業規則で確認したけどよく分からない、といった方もおられると思います。

そのような場合は、是非一度専門家にご相談されることをお勧め致します。

 

弁護士坂本志乃執 筆
KOMODA LAW OFFICE 弁護士
坂本 志乃 SHINO SAKAMOTO
得意分野は労務、企業法務
座右の銘は『努力は人を裏切らない』
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