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刑事訴訟法上の「当事者」に関する概念|弁護士コラム

2019.07.17

今回は、刑事訴訟法上の「当事者」に関する概念についてご説明します。

当事者主義について

刑事訴訟でも民事訴訟と同様に当事者主義がとられますが、制度上異なる部分が存在します。
刑事訴訟法(以下、「同法」といいます。)にいう当事者主義とは、主に、審判対象の特定、すなわち訴因特定(犯罪構成要件に該当する具体的事実に関する検察官の主張)及び証拠調べをめぐる訴訟追行過程において、当事者たる検察官・被告人が主導的役割を担う訴訟構造をいいます。

訴訟追行について、裁判官が積極的に主導的な役割を担う場合、自ら証拠を収集し真実を追究する者が同時に判断者を兼ねることとなり、判断が偏るおそれがあります。

このような経緯から、当事者主義を採用するのが合理的であると考えられているのです。
刑事訴訟において当事者主義がとられているということは極めて重要です。制度上は検察官(国民の代表者)と被告人は対等とされているのです。
もっとも、刑事訴訟における一方の当事者は、捜査権限を有する国家機関たる検察官であって、もう一方の当事者は、私人たる被告人・弁護人に過ぎません。

したがって、単純に当事者主義を貫いた場合、同法の目的である、真実の発見ないし実体的な正義の実現に困難をきたすことが、容易に予測されます。
また、刑事裁判において追求されるべき「真実」は、民事裁判における言わば当事者の間での形式的真実にとどまらず、実体的真実とされています。
そのため、裁判所による訴因・罰条変更命令(同法第312条2項)、職権証拠調べ(同法第298条2項)、裁判長による釈明(同法規則第208条)等が行われます。
 
そして、同法では、公訴の提起・維持・取消を一方当事者である検察官に委ねています(同法第247条、第248条、第257条)。
起訴状一本主義(「起訴状には、裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し、又はその内容を引用してはならない」同法第256条第6項)を採用することにより、捜査機関から裁判所への社会的嫌疑の承継を切断して、裁判所に予断が生じることを防ぎ、もって、真実発見と人権保障を達成しようとしているものとされています。


 

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