動産売買の先取特権の実行②実行方法
動産売買の売主は、「動産売買の先取特権」を実行することにより、売却した目的物から債権を回収できますが、具体的にはどのような方法によるのでしょうか。
例を挙げると、Aがある商品を100万円でBに売ることとし、商品も引き渡したのに、Bが支払期限を過ぎても100万円を支払ってくれないというケースがあるとします。このケースにおいては、さらに①Bがいまなお当該商品を手元に持っている場合と、②Bが既に別の人(C)に当該商品を転売してしまっている場合とが考えられます。
①の場合には、Aは、民事執行法の定める動産競売の方法で債権を回収することになります。すなわち、「担保権の存在を証する文書」というものを裁判所に提出し、裁判所の許可を得て、執行官に商品の差押え、売却、配当を行ってもらう、という方法です。
これに対し、②の場合には、Aは、商品そのものではなく、転売により生じるBのCに対する債権を差押え、そこから、もとの債権を回収することとなります。ただし、Aは、Bから商品を買ったCがBに対して代金を支払う前に、BのCに対する債権を差押える必要がありますので、注意が必要です。
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動産売買の先取特権の実行①動産売買の先取特権とは
何かしらの物の売買が行われた場合において、商品の引渡しと代金の支払いが同時に行われるのであれば、売主が代金を回収できないという事態は通常生じないでしょう。しかし、商取引等においては、先に商品を引渡しておいて、代金の決済は後日まとめて、ということが往々にして行われます。このような取引においては、いざ売主が売掛金を回収しようと思ったら相手にお金がないと言われた、というようなことが起こりかねません。それで一切売掛金を回収できなくなるのでは困るので、売主は、動産を売却したのと同時に、「動産売買の先取特権」という権利を自動的に取得することになっています。
「動産売買の先取特権」という法定担保物権がみとめられることにより、売主は、売却した目的物から優先的に弁済を受けられることになるのですが、具体的に、どのようにして優先弁済を受けられるのかについては、【動産売買の先取特権の実行②実行方法】でご説明します。
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質権の実行④債権質の実行
動産質権の実行が原則として競売手続によらなければならない、とされていたのに対し、債権質の場合は、質権者が自ら取り立てることができるとされています。つまり、AがBに対して100万円を貸した際に、BのC銀行に対する預金債権を質にとったとします。そして、Bが100万円を返せなくなった場合、Aは、直接C銀行に対し、100万円を支払って下さい、と請求することができるのです。なお、BのC銀行に対する預金債権が300万円であったとしても、AはBに対する債権額である100万円の限度でのみ取り立てを行うことが許されます。
もう一つの実行方法として、民事執行法に基づき、担保権である債権質権を実行するという方法もありえます。すなわち、「担保権の存在を証する文書」を裁判所に提出し、執行裁判所に質物である債権の差押え、取立を行ってもらう、という方法です。
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質権の実行③動産質の実行
上記の例で、Bが自己の所有する時計を質権の目的物としたとします。時計は動産なので、この場合を特に動産質権といいます。さて、Bに期限がきても100万円を返してくれないとき、Aはどのように質権を実行すればよいのでしょうか。
基本的には、抵当権のように、目的物を競売にかけて換価することになります。しかし、質権が設定されている動産の価格が低く、競売の手続をとって換価しようとしたのではその費用だけでほとんど残りがなくなるという場合や、競売にかけても買い手がおらず、結局、廉価で売られてしまうという場合がありえます。
このような場合にも、必ず競売にかけなければならないとすることは合理的ではないので、Aには別の方法による質権の実行が許されています。それは、「簡易な弁済充当」といって、Aが所定の手続をとることにより、質権が設定された目的物の所有権を取得できる、というものです。質物を換価せずにそのまま取得するということは、原則的には認められないので、「簡易な弁済充当」は、例外として許されている質権の実行方法ということになります。
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質権の実行②質権の効力
質権を設定したことの効果として、第一に、質権者Aは、Bが100万円を返してくれるまでは、質にとった目的物を占有し続けられることになります(ただし、債権の場合は除く)。Bは、物を返してもらうために何とかお金を返そうとします。そのため、質権を設定したことが、Bに100万円を弁済させる心理的な圧迫となっていることがわかります。
第二に、もしBが100万円を返すことができなくなった場合には、Aは、質にとった目的物を競売にかける等してお金に換え、そのお金を回収することができます。これが、質権の実行であり、100万円の債権を回収する方法ということになります。
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質権の実行①質権とは
質権とは、質権者が、債権の担保として債務者または第三者 (物上保証人) から受取った物を債務の弁済があるまで占有し、弁済がされない場合にはその物から優先的に弁済を受けることのできる担保物権をいう、と説明されます。
よりわかりやすく、具体例をあげて説明するとすれば、AがBに100万円を貸すとします。このときに、Bがお金を返せなくなる場合に備えて、Bの車や時計といった動産や、Bが銀行に対して有している預金債権、火災保険の保険金請求といった債権を質にとります(質権設定契約)。賃貸用の建物、といった不動産を目的物として質権を設定することも可能ではありますが、動産または債権が目的物とされることがほとんどです。
なお、Aは債権者であり質権者、Bは債務者であり質権設定者ということになります。
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担保権実行による債権回収③
抵当権を設定している不動産が相手方の所有するマンションやアパートであって、当該マンション等を賃貸して賃料を得ているとします。もちろん、抵当権を有している債権者は、抵当権にもとづいてこの不動産を任意売却させたり、競売にかけたりといった手段を採ることも可能なのです。それ以外に、債権者は、不動産の所有形態は変化させずに、所有者たる債務者が得ている賃料を差押え、賃借人から自己に対して直接賃料を支払ってもらうという方法により、債権を回収することもできます。これを、“物上代位”といいます。
また、近年、物上代位という方法以外に、“不動産収益執行”という方法よっても、上記でいう賃料等について、これを回収することができるようになりました。不動産収益執行制度においては、裁判所が選任した管理人が不動産の維持・管理・収益の収取等を行い、得た収益から諸費用を差し引き、残りを債権者に配当します。物上代位と比較すると費用等がかかってしまうので、小規模の不動産については物上代位を利用するほうがよい場合もありますが、不法占有している賃借人がいたり、賃借人を特定することが困難であったりする場合には、不動産収益執行のほうが着実に債権を回収できる手段であるといえそうです。
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担保権実行による債権回収②
担保権といっても抵当権や質権、先取特権等、いろいろなものがありますが、なかでも担保権の実行として行われることが多いものとして、抵当権の実行があります。そして、抵当権の実行には、抵当権のついた不動産を“競売にかける”という方法と、当該不動産を“任意売却”する、という方法が考えられます。抵当権をもっている債権者は、このいずれの方法によって債権を回収するのかを、選択することが可能です。
競売の場合、不動産が市場価格よりも低い金額での売却となってしまったり、手続の完了までに時間がかかったり、諸費用としてまとまった金額を用意しなくてはならない場合もあったり、というデメリットがあります。
他方、任意売却、すなわち、債務者に、所有する不動産を売却してもらい、その代金から債権を回収するという方法によれば、競売と比べて高い値段での売却が可能であり、売却についての話がまとまれば手続にかかる時間も比較的短くてすむというメリットがあります。
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担保権実行による債権回収①
担保とは、債権の回収を確実にするための手段であって、抵当権や先取特権等の権利がこれにあたります。これらの権利(担保権)を有していれば、当該権利をもとに、相手の所有する土地等から優先的に債権を回収することが可能となります。これも一種の強制的な手段ではありますが、勝訴判決を得てから行う強制執行とは異なるものです。
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強制執行③
強制執行を行うためには、原則として”債務名義”という文書が必要となります。
“債務名義”とは、債権等の権利が存在するということを公的に証明した文書のことです。つまり、当該文書によって権利の存在が証明されるために、それを根拠に強制的な手段をとることが許される、というわけです。
具体的にどのような文書が”債務名義”にあたるのかは、法律で定められているのですが、確定した勝訴判決、和解調書、調停調書などがこれに該当します。公正証書も、一定の要件を満たしたものであれば、債務名義となり得ます。そもそも担保権を有しているという場合には、その担保権の存在を証明する文書が、債務名義の代わりとなります。
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